その泥濘は足をすくい
その霧は目を欺く
残るのは足跡か屍か
或いは両方か
一次試験・4 〜最高の眼力で〜
約四分の三の受験生が階段を上りきっただろうか、そんなとき今まで居た地下道への道いや地下道からの出口が閉まった。
サトツはそれに振り向かず、関心を向ける様子もなく言葉をつむぐ。
警告とも聞こえる注意事を。
すると間髪居れずにどこからか叫び声が聞こえた。
「ウソだ!そいつはウソをついている!」
その後、傷を負った男が手に何かを引きずり現れた。
「そいつは偽者だ!ウソをついている!俺が本当の試験管だ!!」
そう言って手にしていたもの、サルらしきものを引っ張り出す。
そしてまた何か力を入れて説明し始めた。
はその男の持っているサルとサトツの顔を交互に見る。
横に居たゴンがそれに気づいて聞いてきた。
「ねぇ、?どうかしたの・・?」
ん?と小さく返事をしてゴンを振り向く。
そして腕を組んだ。
「いいえ、あの男くだらない嘘、言っているけど、それとは別にあのサルとサトツがあまりにそっくりだなと思って」
特に声を潜めることもせずズバッと言い切る。
それにゴンが両手を振って慌てる。
「!?だめだよ、そんなこと言っちゃ!」
かなりあたふたしている。
それを聞いていたキルアは腹を抱えて笑っている。
そんなこととは別に偽試験管たちの話は進んでいた。
そして・・・
ヒュッ・・・・・・ ―――・・ドサッ
何かが空を切る音の後それなりに何か重みのあるものが地に落ちる音がした。
はそちらにちらりと視線をやるとあの男がトランプ三枚によって事切れていた。
目の端ではサトツがトランプを手に持っているのが見える。
「(はぁ、ヒソカのやつ・・・・)」
内心呆れながら、でもこんなことは付き合いが始まってから知っていることなので今更だなと回れ右をして湿原の風景を暫く楽しむことにした。
その間に、もう一回トランプが投げられる音がする。
その後、サトツがヒソカに注意するのが聞こえた。
それから数分後、再び二次試験会場へ走り始めた。
、ゴン、キルアと三人で走り始める。
・・・といっても、相変わらずは歩いているが。
ゴンとキルアがそれに気づいて驚く。
「ってもしかしてずっと歩いてたの!?」
ゴンが声を上げる。
「?そうよ、そんなに驚くことなの?走るまでもないじゃない、一番前に居るわけでもないし。居てもこのままだけど、多分」
素っ気無く返すに今度はキルアが声を上げる。
「マジかよ!?変だぜそれ!どう考えたって・・・あ、でも脚長いからな」
キルアのいきなり変宣言にが顔をキルアの方に向ける。
そして出した言葉が、
「・・・・そうなの・・・・・・?」
だった。
ゴンとキルアは一瞬間が抜けてずっこける。
「大丈夫か?」
無表情だがどこか真顔で言う。
「お前な・・・普通、変に対して否定するとか、何かしら反応するもんだぞ」
キルアが言う。
「ふ〜ん、そうなんだ」
またキルアがずっこける。
ゴンは困った笑顔を浮かべてキルアを見た。
「キルア・・あなた、忙しい奴ね、困ったことがあるなら手伝おうか?」
「いや、もういいよ」
肩をがっくし落とす。
ゴンがあははと乾いた笑い声をあげた。
暫く走っているとキルアが不意に口を開いた。
「、ゴンもっと前に行こう」
間髪居れずにゴンが相槌を打つ。
「試験管を見失ったら大変だもんね」
それをキルアは否定するような物言いをする。
「そんなことより、ヒソカから離れた方が良い。あいつ殺しをしたくてウズウズしてる。霧に乗じてかなり殺るぜ」
は二人の会話に入ることもなくただ聞いている。
ゴンはキルアの方をじっと見る。
「なんでわかるかって?臭いでわかるのさ、俺もあいつと同類だからね」
「え、そうなの?そんな風には見えないよ・・・?ねぇ、はヒソカのことわかった?」
振られてはそちらに視線だけ送る。
「ん?ええ、ま、あいつは昔からそういう奴だから。巻き込まれたくなかったらキルアの言うとおり離れた方が賢明かもね」
ゴンはそれに驚く。
「わかったの?っていうか、はヒソカと知り合い!?なんで!?」
「今はちょっとね。後で話すわ」
「うん、絶対だよ!そうだ、それじゃ離れないといけないこと教えなきゃ」
そう言うと、ゴンはキルアとが?マークを浮かべている中いきなり声を張り上げた。
「レオリオー!クラピカー!キルアとが前に来た方が良いってーーーーーー!!!」
すると、レオリオも声を張り上げて答えた。
「どアホーーー!!!キルアと誰がだってーーーーー!!??出来ればとっくにしとるわーーーー!!」
「そこを何とかさーーーーー!!!」
「無理だっちゅーのーーーーーーーーー!!!!!!!」
その遠距離且つ大声のやりとりにキルアとは同じ様なリアクションで固まっている。
に至っては顔を少し赤らめ恥じているようだ。
これは彼女の人生中五回以下の表情である。
閑話休題。
キルアはそんなゴンとレオリオに対してそっくりそのまま当てはまるセリフをこぼす。
「本当緊張感のないやつらだよな」
「ええ、そうね。素直にそう同感できるわ・・・・」
そうして、とりあえず先を目指すことに思考を戻した。
「騙されたのね」
がポツリと呟く。
「ああ、みたいだな」
キルアもそれに共感しながら呟く。
いつ頃からか、後方より悲鳴が聞こえていた。
所謂、阿鼻叫喚と言うやつだ。
すると、キルアの隣にいたゴンが何かに反応した。
「レオリオ!?」
そういい残し、物凄い速さで逆走を始めた。
「ゴン!!」
キルアがそう呼び止めたが聞こえているのかいないのかゴンの背中は直ぐに消えてしまった。
はそれをただじっと見ているだけだ。
「ったく、あいつ人の心配してる場合かよ!?」
そう言ったキルアに今度は視線を変えてはじっと見る。
その視線に気づいてキルアが口を開く。
「何?俺の顔になんかついてる?」
「いや、キルアは行かないのかな、と思って」
「行かねぇよ、俺はあいつほど馬鹿じゃない。それを言うならだってそうだろ」
「そうなんだ」
またずっこけるキルア。
「キルアよくこけるわね、老化が進んでるのかも。何もないところでよく躓いたりこけるのは脳の何とかって所が老化しているから、と何かの本で読んだわ」
「・・・そうか(お前のせいだっつーに)あ、そういえばさ」
話題転換もこめてキルアが話す。
はそれを視線だけ向けて聞く。
「って下の名前だったよね?」
「そうよ」
「って、あの暗殺一家のだよな?」
「そうよ」
そのまま無言で歩く、走る。
暫くの間の後キルアがまた口を開いた。
「何でわかったのかって聞かないの?」
相変わらずは前を向いたままだ。
「なぜ?聞いて欲しいの?」
まだまだ泥濘が激しく、霧も濃い。
一向に目前の人間が見える気配もない。
だが、二人は気にした様子もないし、そんなものは微塵も感じられなかった。
「いや、そういうわけじゃないけど・・・何かってあまり関心とかもたねーんだな。俺の兄貴にそっくりだ」
「ふ〜ん。イルミに?それともミルキに?」
それにキルアが思いっきり目を見ひらいて驚いた。
そして、警戒心を起こす。
「な・・ぜ・・・それを知っている・・・・!?」
はさして悪びれた様子も、気にした様子もなく前を向いたまま淡々と言う。
「なぜと言われても、ゾルディックでしょ?キルアの上にはイルミとミルキしかいないじゃない」
それにも驚く。
「(なぜ家族構成そんなに詳しく知ってんだ!?おかしい・・・!!)そうじゃない、どこでそんなこと知ったんだ!?」
ははぁ、とどこか疲れたように息を吐いた。
そして、キルアから質問がまた来ないように要点だけ掻い摘んで話す。
「とゾルディックは商売敵ではあるけどちょっとした親交もあるの。そちらに訪問したことも数回あるわ。
なのにあなたがわたしのことを知らないのは、まだ、あなたに物心がついていない頃に会ったから。
嘘だと思うなら家にでも帰ったときにシルバかゼノか或いはキキョウにでも聞いて頂戴」
そこまでズバッと話すとまた息を吐いた。
久しぶりに一気に話したせいか気疲れしたようだ。
キルアはまだ目を見開いていたが、そこまで聞くとどこか納得したのか”ああ”と相槌を打つ。
しかし、二人とも、もともとの話しの発端となった質問を忘れてしまったのか、また黙々と前を追い始めた。
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お疲れ様です。
何か、無駄なところが多い気がするのはわたしの気のせいだろうか・・・
しかも、さん未だに歩き続けています・・凄いですね!(お前が書いたんだろうよ
そして、よく喋っておいでです。
別人が多すぎです;なんか、はちゃめちゃです。
てか、とりあえず一次試験はこれで終わります。
次からやっと二次です。
しかも、これ始まると新連載始めるようなこと言ってますがどうなんでしょ(いや聞くなよ
ま、いいわ。
ここまで読んでくださって有難う御座いました。
よろしければまたお付き合い下さい。
そして・・・・一言感想など下さると嬉しいです・・・・・ハイ、すんません、無駄なこと言うなっつーわけですね;
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