先を行く案内人は間違いなくその道への鍵
いつか出る光への
いつか手にする証への
一次試験・3 〜スタミナ勝負〜
”さて”と切り出し試験についておおまかな注意事項を述べ始めた。
「・・・・受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます、それでも構わないと言う方のみついてきてください」
それにその場に居る人たちは皆、愚問とばかりにその者についていく。
は一度懐中時計を取り出し時間を確認すると歩み始めた。
「承知しました、第一次試験、404名全員参加ですね」
そう言いながら歩を進める。
それに続く受験生達も然り。
しかし、異変に気づく。
先頭付近にいる受験生達は疲れたためではない汗を浮かべる。
そして、数秒後には走り出していた。
はその集団のほぼ後方付近で歩いている。
不意に受験生達を案内する人物が声を発した。
「申し遅れましたが、私、一次試験担当官のサトツと申します。
これより皆様を二次試験会場へ案内いたします」
その言葉に数人の受験生が頭に?マークを浮かべる。
そしてその中に含まれる、坊主が口を開いた。
「二次・・・ってことは一次は?」
それに答えるサトツ。
「もう始まっているので御座います」
は頭の弱いやつもいるのねぇ、などと思いながら歩いていた。
「二次試験会場まで私について来ること、これが一次試験で御座います。
場所や到着時刻はお答えできません、ただ私について来ていただきます」
周りはもう走り一色。
どこかで大声が聞こえたがが気にするはずもない。
「(そういえば)」
何を思ったかまたその手に携帯を取り出す。
すると、電源を切った。
「(ウザいからね・・・・・)」
そしてまた手の内から携帯を消す、と同時に今度は試験会場に入る前まで持っていたジュラルミンケースを取り出した。
ケースを開け、中からとてつもなく分厚い本を一冊取り出す。
その後、本以外のケースはまた消してしまった。
読み途中の本なのか中途半端なページを開いて読み始める。
表紙には何やら小難しい文字とともに何かの文明のような名前が書いてあった。
それを読みながらはひたすら歩く。
その周りで走っていたほかの受験生達はその光景に驚きを隠せなかった。
数時間後、は本を読み終わったのかジュラルミンケースを取り出しその中に本をしまい始めた。
そしてまたケースを消す。
懐中時計を取り出し時間を確認する。
「(80キロぐらいきたかしら)」
そう思いながら懐中時計を仕舞いながら黙々と歩き続ける。
暫く行くと直ぐ目の前に何段あるのかわからない上り階段がずっと先まで伸びていた。
前にいた受験生達の中には階段に悪戦苦闘しているのかペースが落ちてきている人もいた。
「(面倒臭そう・・・試験管のところまで一気に行こうかな)・・・・邪魔」
そう、目の前でもたもたしている受験生に一言発すると、は物凄い速さで階段を上っていった。
3段、4段という単位ではない。
10段以上の階段を抜いて先へ進んでいる。
地を蹴って着地すれば、もう数メートル先まで進んでいる。
「(意外と後ろにいたのね、わたし)」
いっこうにサトツの姿が見えない為そんなことを思う。
そしてまた、ペースアップする。
もう、20段以上を抜いて上っていた。
だが、表情は依然と変わらず無表情で涼しいままだ。
汗一つも掻いていない。
そのままの状態で兎も角先へと進んでいった。
加速しながら金、金と言って先を行くレオリオの後をクラピカはついて行くように走っている。
レオリオの横に出て並行して走る。
そんな時二人の頭上を何かが通って行ったかと思うといきなり5段くらい先に長いオリーブグリーンの髪を下ろした娘が現れた。
いや、降りてきた・・、着地したとでも言おうか。
それにレオリオとクラピカは驚いていると間を空けずにまた階段を蹴って20段程先まで行ってしまった。
どうやらその繰り返しをしているようで。
思わずレオリオが口を開く。
「な、なんじゃ、ありゃぁ・・・・女・・だったよな?なんつー体力だ」
「あ、ああ。確かにレオリオの言うとおりだ・・・」
クラピカもそれに倣うかのように口を開く。
そうして二人は暫くの間ポカーンとしたまままだ先の続く階段を駆け上っていった。
は関心もなく先に見えてくる受験者達をどんどん追い抜いていく。
依然、汗の一つも掻いていないし、疲れがたまっている様子もない。
まだかしら、などと思いながら階段を蹴っていると、数十段先にサトツの姿を発見した。
「(いた)」
そうして今までよりも少しだけ跳躍力を抑えて4回ほど階段を蹴ると丁度サトツの隣に着地した。
ストッ
その音と言うよりも気配に気づきサトツが横を振り向く。
「おや・・・あなたは・・・・・」
そう言って至極驚いたように呟く。
はと言うと視線だけサトツにやった。
「あなたも受けていたんですね。あれ以来、どうですか?似たような仕事は・・・?」
「ないわ。そもそもあれを受けて依頼してくるようなタマがこの世の中にそんなに居るとは思わないもの」
「そうですか」
サトツはふっと笑って前を向く。
は速度を緩めてサトツの右斜め後ろに引いた。
「お姉さん、すごいね!!!」
いきなり左後ろから声をかけられた。
声音からしてどうやら子供のようでかなり元気だ。
それに驚いて顔だけ振り向く。
すると、子供が二人並行して走っていた。
加速しての隣に出る。
「お姉さん、本当にすごいね!!俺びっくりしちゃった!あ、俺はゴン、ゴン=フリークスって言います。
で、こっちがキルア!お姉さんは?」
いきなり声をかけられたと思ったら、いきなり馴れ馴れしく自己紹介まで始められて(顔には出さないが)少々面食らった。
だが、ゴンの名前、ファミリーネームを聞いてピンときた。
なぜなら、あの有名なジン=フリークスの息子だと判断したからだ。
一度だけしか会ったことがないが覚えている、目が似ていた。
そして、その横のキルアという少年。
十中八九、ゾルディックのイルミの弟だろう。
彼が凄く小さいときにしか顔を見ていないので現在の顔を知っているわけではないが、元々名前を知っている。
雰囲気からして間違いない。
そんなことを思っていたので始終無言。
ゴンの質問もすっかり忘れてそっちに頭がいっていた。
質問したまま反応のないに痺れを切らしてゴンがまた口を開く。
「ねぇ、お姉さん聞いてる・・・?」
その言葉で気がついて横を向く。
「・・・・なんだったかしら?」
ゴンがうっ、と表情を一瞬かえる。
「お姉さんの名前だよ、なんていうの?」
ああ、と思い出したのかは小さく相槌を打ちながら、今日はよく名前聞かれるな、とかも思っていた。
「よ、=」
「さん・・綺麗な名前だね!ね、キルア」
「ああ」
ゴンにふられたキルアは何か考えている様子で素っ気無かった。
ゴンはそれに顔をしかめたが、が噴出したのでそっちに振り向き直った。
「・・・・ふっ」
「?・・何、何か面白いことしたのかな?俺」
そう言って気持ち顔を赤らめて頭を掻く。
「いや、自分の名前を綺麗だといわれたのは初めてでね」
それに驚くゴン。
「!そうなの!?ふ〜ん。ま、いいや。これからよろしくね、さん!」
「え?」
ごく小さく、驚きのあまり声を出す。
ゴンの顔を見ると、満面の笑顔でこちらを見ている。
これまた、今までになかったことだ。
普通にいけば、警戒して突き放すところだが、なぜか不思議とそんな感情は、突き放そうという感情は起きなかった。
自身、その事態に驚きながらもそんなことも偶には良いのかも知れないと、かなり希少価値の高い笑みを作って返した。
「ええ、よろしく。それから、”さん”は付けなくていい、だ。こちらもゴン、キルアと呼ばせて貰うから」
「うん、わかったよ、!」
そう言ってまたゴンは笑顔を浮かべた。
不意に今まで黙っていたキルアが口を開く。
「・・・ってもしかして」
そこまで言って止める。
なぜなら光が差してきたからだ。
一気に外に出る。
薄暗い地下道から数時間ぶりの地上。
不可抗力で目を細める。
外に出ると、サトツはその髪を掻き揚げた。
は先ほどキルアが言いかけたことを頭に浮かべていたが特に気にすることでもないだろうということで聞き返さなかった。
後ろでは続々と受験生達が駆け上ってくる。
不意に誰かが言葉を発した。
「ここは・・・?」
それに試験開始直後のようにサトツが答える。
「ヌメーレ湿原、通称”詐欺師の塒”。二次試験会場へはここを通っていかねばなりません」
なるほど何か異様な雰囲気をかもし出している湿原だ。
はこの湿原を見ながら髪の乱れをとりあえず手櫛で整える。
そして、改めてサトツの方を向くと彼はこうも言っていた。
「十分注意してついて来て下さい・・・騙されると死にますよ」
と。
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本の引用が多い今日この頃・・・・・(-_-)
なんだかなぁ、ってなかんじのはなしですいませんです;
しかも、いつのまに存在自体消えていたジュラルミンケースが
いきなり姿を現したり・・・はちゃめちゃですな
ものをいきなり消したり取り出したりは無論念能力ですよ
サトツさんとの意味深な会話は後々の話で明かしていきます。
では、様今回もまたお付き合い下さって有難う御座いました
もう読まない方は閉じてください
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