不安定な心


崩れ行く自我


闇でもがくわたしは


確かに闇を求めたのに


結局求めたのは


光だったのかしら・・・・?












    最終試験  〜闇と光〜











「突っ立ってないでそこに座りなされ」

ネテロに促されては和室になっているこの部屋の畳に靴を脱いで正座した。

向かいにいるネテロは胡坐をかいていたが。

「まず、おぬしはなぜハンターになりたいのかな?」

「・・・なりたいわけではないわ」

「では、なぜじゃ?」

「資格を持っていると手間が省けるからよ」

「ほお、例えば?」

「いちいちハッキングしたり不法侵入しなくて済むこともあるでしょう」

そう淡々と述べるにネテロは髭を扱きながら笑った。

「ほっほ、仕事は捗っている様じゃの、

「お陰様で」

声高らかに笑うネテロをはただ見つめた。

「では、次の質問じゃ、おぬし以外の9人の中で今一番注目しているのは?」

それには目を泳がせて眉間にしわを寄せた。

暫く考えた後、どこか躊躇いがちに口を開く。

「・・・405番」

「ふむふむ、理由を聞いてよいかの?」

「なんとなくよ」

「ほっほっほ、そうかの?まぁ、良いわ。最後の質問じゃ、今一番戦いたくないのは?」

これには間髪いれずに答えた。

「44番」

「理由は?」

「・・・友達・・・・・だから」


小さく言うとは俯いてしまった。

ネテロがそれにまたあの笑いをすると笑みを浮かべ”退室してよい”と、俯いたままのに告げた。














今、は最終試験会場でゴンたち四人の近くに立っている。

ネテロの説明で、最終試験は1対1のトーナメント方式で、それは一勝すれば合格だそうだ。

勝つための条件は相手に”まいった”と言わせること。

それ以外は反則も何も無いらしい。

武器もOK。

但し、相手を殺してしまった場合は即失格、その時点で他の受験生が全員合格になるらしい。

はさして興味を示すわけでもなく、ただその場に立っていた。

トーナメント表によると第一試合はゴン対ハンゾー、第二試合はクラピカ対ヒソカだ。

今、目の前では、マスタという試験官とゴンとハンゾーが立っている。

間もなく試合開始の合図が出された。

ゴンがハンゾーを早い動きで翻弄しようとするが、ハンゾーはそれを易々と追う。

明らかに先の見えた試合だった。

ゴンがハンゾーから手刀を喰らい堪らずその場に崩れる。

近くでキルアが軽く舌打ちするのが聞こえた。

それから、ハンゾーのゴンに対する”攻撃”が始まった。

長々延々とそれは続く。

レオリオは歯軋りをしていたし、クラピカも心なしか眉間に皺を寄せていた。

はただそれを淡々と見る。

ゴンが腕を折られたこの瞬間もそれは変わらない。

腕を組んでそれを動じることも無く見つめ。

結局、この試合がゴンの勝利で終わるまでそれは変わることは無かった。

もし、一つだけでも変わったことを挙げるとしたらそれは、服の袖の下の肌に赤く指が食い込んだ痕があることぐらいだった。

それが誰かに気づかれることは無いのだけれど。




第二試合はクラピカ対ヒソカ。

両者がハンゾー、のびているゴンと交代で前に出る。

そうして試合が開始されるとヒソカは本気ではなかったものの意外といい試合をした。

最後、ヒソカが耳打ちをして何故かそのヒソカが負けを宣言して終わった。

ヒソカがこちらに歩いてきて止まる。

、次は君の番だよ◆」

「わかってるわ」

「本気でやるのかい?」

「さぁ」

「ククク

そう必要最低限だけ短く話すとは歩を進めた。

それに続いて歩を進めたのは第一試合の敗者、ハンゾーだ。

先に歩いたは他の受験生に背を向ける形で歩を止め、ハンゾーは必然的にその反対側まで進むこととなった。

第三試合の試験官が二人を交互に見やる。

そして

「第三試合、ハンゾー対・・・始め!」

試合が開始された。

「敵討ちでもする?」

不意にが口を開く。

ハンゾーがぴくりと片眉を動かした。

「前にも言ったがそれをする気はない。それにここでもしお前を殺せば俺の反則負けで失格になる。だから俺はこの試合のルールにのっとってお前に勝つだけだ」

「そう」

言った次の瞬間には、ハンゾーの右腕をひねり上げ、床に組み敷いたがいた。

その一瞬の出来事に誰もが目を見張る。

「まいったと言いなさい」

冷たく言い放つにハンゾーはそこから抜け出そうと身体を動かす。

だが、ピクリとも動かない。

「(女の力でここまで・・・ありえん・・!)」

ハンゾーが額に汗を流す中、は変わらず淡々と言う。

「無駄よ、点穴を突いたからもう一度突かない限り自分の力で立ち上がることは出来ないわ」

今のの力でもハンゾーより強い力で抑えることは可能だが、面倒臭いということでさっきの一瞬で全身のいくつかの点穴を突いたのだ。

それが見えている人間はほぼないに等しかったが。

今、は左膝でハンゾーの左腕を、腰辺りを右膝で押さえ、右手首を左手で縛り上げている。

「あまり面倒をかけられるのは嫌いなの、おとなしく”まいった”といいなさい。さもなくば、こうなるわ」

言うと、はハンゾーの右小指に右手をかけ力を込めた。

そしてそれは音を立てて自然ではありえない方向へと曲がる。

誰もが目を見張った次の瞬間、また彼らは目を見張ることになる。

折ったはずの指が元に戻っていたのだ。

「今の痛みは本物の傷み。もし、ここで”まいった”と言わないのなら、今度は本気で・・全てをやらせてもらうわ」

そう言って冷ややかに見下ろすと同時に、その場に居た誰もが動くことすら出来ず、背筋を凍らせた。

例外もいたが。

兎も角、それ−殺気−を直に受けているハンゾーは気が気でなく、その表情はかなり強張ったものになっていた。

そして、間もなくハンゾーの”まいった”というかすれた声が聞こえた。

それを聞くとは、その場から立ち上がり他の受験生が控えている方へと歩いていく。

無論、立ち際にハンゾーの点穴をもう一度突いて動けるようにしたが。

ワンテンポ遅れて、その場に凍り付いていた試験官がの勝利を合図する。

は無言で壁に背を預けた。

ふとヒソカが歩み寄る。

、そろそろソレ、解きなよ◆皆、動けないみたいだしさ

「ああ・・・忘れてたわ」

そう、ヒソカを見上げ一瞥すると言いながら”忘れていた”といわれた殺気を解いた。

場に安堵の息がかすかに流れる。

ハンゾーも漸く立ち上がり壁際にひいた。

「今の本気だっただろ?」

ハンゾーがひくのを確認してからヒソカが口を開く。

「・・・どうかしら」

「あのまま続ければ面白かったのに

「合格するために受けたのに失格になったら意味ないでしょう」

「それもそうだねぇ・・・・なぜ本気でする気になったんだい?」

それには明らかに眉根をよせ、一層顔を俯かせる。

「ヒソカに関係ないでしょう」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

そんなにヒソカは何かを感じて無言での頭に手を置いた。

はその後、何処か苦渋の表情を浮かべながら始終顔を俯かせていた。



   ヒソカの言うとおりだわ・・・なぜわたしは本気になったのかしら


   あの時わたしは確かに本気だった


   でも、なぜ・・・・?


   ゴンがハンゾーにあんな仕打ちをされたから・・・?

 
   ありえないわ


   あれぐらいのことなら普段わたしだって普通にするじゃない


   相手がゴンだったから・・・・?


   どうして・・・どうして・・・・・・


   ・・・・・わかってるわ、わかっているけどわからないフリをしているだけで、本当は・・・

 
   



   ・・・・ヒソカ・・・・・今まで突っぱねたことなんてなかったのに・・・・


   ・・・やめちゃう・・・・・かしら・・・・・・友達・・・・・・


   


   馬鹿らしい・・もともと捨てる捨てられるが前提の関係じゃない・・・・

   
   本当馬鹿だわ・・・・







   ・・・・・・・ゴン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒソカ・・・・・・・・・・・








「お前は熱を持たない闇人形だ」


ビクリ


イルミの放ったその言葉で今まで顔を俯かせ表情を隠していたが身体を一瞬だけ強張らせて顔をあげた。

その目線の先にはイルミとそれに対峙する形でいるキルア。

「(キルア・・・・・イルミ・・・)」

は我に返ったのと同時に、この試合を傍観し始めた。

イルミはキルアを追い詰める。

はそれを普段と変わらず、たた無表情でみつめた。

自分の心の中で広がっていく闇を感じながら。

レオリオが何か叫んでいるのが聞こえる。

それに反応するイルミが見える。

そして、イルミの言葉が耳をつく。

「よし、ゴンを殺そう」

その場に居た殆どがその言葉に衝撃を受ける中もまた組んでいた手に力を込めた。







   今、ゴンを失っちゃいけない・・・


                                                      
どうして?もう、光は求めないんじゃなかったの?




   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



                                                     
 無垢で、純な存在は求めないんじゃなかったの?



   それでも、今彼を殺させてはいけないのよ



                                                      
求めたのは自分と同じ”闇”なのに?


                                                               何の為に?



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


                                                               
自分のため?




   わたしの・・わたしには・・・・・・・


   ・・・・キルアのためよ、彼にはゴンが必要だから



                                                            
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


   だから・・・ゴンは殺させちゃいけないわ


                                                  
・・・・良くないと思うわよ、別の意見に託けて自分の行動を実行しようとするの


   
                                                               また同じことをするの?

                                   
                                                          あのとき、”闇”を求めたときと同じように・・・


                                                                  懲りないのね

                                

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

                                   ・・・・・それでも・・・・それでもわたしは



                           今、彼を、ゴンが殺されることを阻止しなくちゃいけないのよ・・・・・!










は目を見開くと、イルミが歩を進めた先の扉に、他の者達がしているように立ちはだかった。

流石のイルミも、それには驚いたようで。

、君も邪魔するのかい?」

「戯言は外でして頂戴」

そう冷たく言って殺気を放った。

それにイルミは頭をかきながらリアクションを取る。

他の人たちはそんなとイルミのやり取り、というより寧ろ、に驚いていた。

これには、ヒソカも多少なりとも驚いていたようだ。

「まいったなぁ・・・は本気みたいだし、もし、ここで他の奴らを殺っちゃったら俺が失格してキルが合格しちゃうね・・・
 ・・・・あ、いけない!それは、ゴンを殺っても同じか・・・?」

そう言ってイルミは手をポンと叩いた後、顎に手をやって何か考え始めた。

そして、何かいいことを思いついたのか晴れ晴れと”そうだ”と切り出す。

「まず、この試合に勝ってからゴンを殺そう」

言うと、ネテロに質問をした後、キルアに向き直って再び試合が開始される。

といってもそれは一方的なもので・・・。

最中、クラピカが殺気を放ち続けその場に腕を組むに声をかけてきた。

・・・あなたは一体・・・・・・」

は視線だけクラピカに向ける。

「・・・わたしは、家の長女。それ以外の何者でもないわ」

そう言って前のイルミ、キルアの二人に視線を戻す。

戻し際、複雑でどこか寂しげな色を瞳に宿して。

ちらりとヒソカに視線をやるとヒソカは変わらずイルミに殺気を同様送っていた。

と訳が違っていたが。





「ウソだよ、キル。ゴンを殺すなんてウソさ」



そう言うイルミは満更でもなかったようにキルアの頭に手を置いた。

そして、キルアの下から去っていく。

残されたキルアは無言で、まるで蛻の殻のように壁際にひく。

ヒソカは既に殺気を抑えていたが、は未だに放ちっぱなしだった。

「怖いなぁ、そろそろ抑えてよ。嘘だって言っただろ?」

はそれに構わずイルミを見やる。

「あなたが嘘だといってそれが本当に嘘になったことなんてあったかしら?」

「まぁまぁ、そこまでにしてあげなよね、?」

そうヒソカが宥めるとは仕方なさそうに殺気を消した。

ヒソカは笑っていたがイルミはどこか腑が落ちないような表情でいた。

それに気づいた人はヒソカとぐらいだが。

それから最終試験終了まではヒソカの隣で残りの試合をどこか上の空で傍観していた。

ふと我に返った頃には、キルアが自身の手を赤に濡らして会場を去っていくところだった・・・・・。







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な、長いよ;
しかも、え?ヒソカ・・・・?みたいな(ご、ごめんなさい
いつもながらはちゃめちゃですみません;そして、久々更新すみません;
アニメ版の最終試験のイルミが面白くて好きです。
特に、頭ひねくり回して考えてるところが可愛くて仕方ありません(え
あとは、試験終了後のゴンとの絡みで「君の後ろで君を見守っている人たちにこれ以上心配かけさせたくないから・・・・・なんてね」
の”なんてね”の部分が好き(うわ、また微妙な
はい、語り入ってすみませんでした;

閉じてください



































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