新たに動き出した歯車は


止まることなく


錆びることなく









    試験終了  〜約束事〜










長いようで短かった試験も終了し、今ちょっとした講習室で、今回の試験合格者(約一名を除く)とネテロ会長他試験官たちはちょっとした話し合いをしていた。

内容は、キルアの不合格について。

その話をは何処か上の空でこれまた聞いているようで実は聞いていないヒソカが座っている席の隣に腰掛けて耳だけ傾けていた。

因みに、が通路側で、ヒソカがその奥の席だ。

が机に頬杖をつくのとほぼ同時に右後ろに見える扉が勢いよく開く音がした。

そこから姿を現したのはゴンで甚く怒っているようだ。

ただ、それに対するこの部屋にいる者たちの反応はそれぞれで、とヒソカは目線だけをやり、イルミ以外の人間はそこを注目した。

イルミはと言うと、特にこれと言った反応はない。

カツカツと講習室の部屋の座席の間を進んでゆくゴンを、は目で追いながらその先に居るイルミに視線をとどめた。

「キルアに謝れ」

シンとなっていた講習室にゴンの声がやけに響いた。

声をかけられた本人であるイルミは特に動じずに聞き返す。

「謝る?何を?」

その返答にゴンは呆れたような、どこか困惑したようなそんな表情を一瞬だけ浮かべた後、あからさまに顔を顰めてまた口を開く。

「そんなこともわからないの?」

「うん」

「お前に兄貴の資格ないよ」

そうゴンはイルミに告げた。

言われた本人は手を口元に持ってきて考えるような仕草を取る。

「う〜ん、兄弟に資格がいるのかな?」

「友達になるのにだって資格なんて要らない!」

叫ぶように発した言葉に傍観していたは僅かに反応して横に座っていたヒソカにちらりと視線を送った。

無意識に。

一瞬だったその動作に気づいたヒソカが同じくに視線をよこしたことに気づくことはなかったけれど。







?」

そう、いきなり呼びかけられてはっとする。

未だ、半ばボーっとしつつ声の聞こえた方向に顔を向けた。

「何?ヒソカ」

「講習、終わったみたいだよ◆」

「え、ええ・・・」

「考え事していたのかな?」

「ええ、そんなところよ」

暫くの記憶がない。

何をしていたのか、何を考えていたのか・・・覚えていない。

覚えていること言えばゴンが『友達になるのにだって資格なんて要らない!』そう叫んでいたこと。

ただ、本当にこの講習室でのやりとりが右から左へ流れただけだ。

やっぱり、どうかしてしまっているとは思いつつ席を立つ。

そうして扉へと歩き出すの後を追う形でヒソカも席を立つとそれに倣った。





講習室を立ってから吹き抜けの廊下の壁に背を預けてただ空を眺めているに暫く何も言わずにそれを見ていたヒソカが口を開いた。

「そういえば、クロロに連絡取らなくていいのかい?」

視線をヒソカに向け、また直ぐに元に戻す。

「ああ、忘れてたわ」

そう言って携帯を何処からともなく取り出すとアドレスを選択して掛ける。

そんなに苦笑しつつヒソカがまた口を開いた。

「ボクの約束は忘れないで欲しいなぁ

「忘れないわ、これが済んだらね」

何気にクロロに対して酷い言い方をしている気もしなくもないそれにまたもヒソカは苦笑した。

程なく、流れていた電子音が消える。

『俺だ』

電話越しに聞こえてきた声は間違いなくクロロその人。

は空から視線を離さず話し始める。

同時に他に話し声を聞かせないために念を発動して。

よ。試験、終わったから連絡したわ」

味気もクソもない物言い。

確かにそういう約束だったが・・・

『合格したのか?』

「愚問」

『それもそうだな』

「それで、本題。いつディナーをご一緒すれば?」

『そうだな、今日にしよう。』

それには暫く言葉をなくす。

ヒソカは先ほどから傍観。

「それはまた急ね」

『もともと約束してたんだから急ではないだろ』

「そうかしら」

『そうだ』

そんなわけのわからないことをきっぱり言うクロロには時々、本当にこの男があの幻影旅団の団長なのだろうかと疑うことがある。

この子供のような、屁理屈であるのかすら分からないことを言う男が。

それはいいとして、はもたれていた壁から背を離すと床に視線をやった。

「では、どうすればいいのかしら?待ち合わせ、ということになるのかしらね?」

『いや、俺がお前を迎えに行くよ。今、何処にいる?』

「今なの?」

『ああ』

又もや急なことを言うクロロには密かに息を吐いた。

「わたし、ちょっと休みたいの。今からホテルの場所教えるから18時頃にいつもの方法で部屋まで迎えに来てくれる?部屋番はカウンターで聞いて頂戴」

そう言ったにクロロは電話越しで暫く考えていたようだったが程なく答えが返ってくる。

『ああ、わかった。それで、そのホテルの場所は?』

「場所は・・・」

場所を教え始めたとほぼ同時ぐらいか、ヒソカの後ろの方からイルミが歩いてくるのが確認できたが特に気にするほどでもないのでそのまま続ける。

ヒソカも気配に気づいて後ろを振り返った。

「やぁ遅かったね◆」

「うん、まぁね。・・・誰と?」

「クロロ

「・・・ふ〜ん」

指差して問うイルミにヒソカが答える。

答えに反して、いや、彼には普通の受け答えだが、素っ気無い反応が返ってきた。

間もなく、話が終わったのかは念を解除して携帯を仕舞う。

「じゃあ、わたしはホテルへ向かうからとりあえずここでお別れね」

「もう、予約したの?」

そう言ったのはイルミ。

それにはどこからかライセンスカードを取り出して示す。

「これがあるから平気でしょう。ホテルはもう決めてあるから問題ないわ」

「へぇどこなんだい?」

「用があるなら自分で探して来てちょうだい」

「ククク

ライセンスカードを仕舞いヒソカから視線を外してイルミに移す。

ふと目に留まったのは彼の右腕だった。

「イルミ・・・それ、折れてるの?」

「コレ?うん、まぁね」

それにイルミがその腕を少し持ち上げてみせる。

ヒソカはそれに目を輝かせた。

はただ無表情でそれを聞く。

「面白い素材だ。ヒソカが見守りたいって気持ちがよくわかるよ」

「だろ

その直後イルミが何かよからぬことを思ったことにヒソカもも気づく。

「・・・イルミ?ゴンに手を出したら・・・・・・」

はそこまで言うと無言でただ視線だけでその言葉の続きを続けた。

即ち、殺気を飛ばして。

ヒソカもとは違う理由にしろ同じことを言いたかったようだ。

イルミは肩をすくめる。

「わかってるって。ゴンには手を出さないよ。仕事以外で一気に二人も敵を作ったら流石に敵わないからね、特に君たち二人じゃ」

それにが殺気を飛ばすのをやめた。

完全に警戒を解いたわけではなかったようだが。

「じゃあ、わたし行くわ」

そう言ってヒソカ、イルミの間を通り抜けようとしたとき、イルミが再び口を開いた。



「何?」

「コレ、治してくれるとありがたいんだけど」

そう言って、イルミは視線で折れた右腕を示す。

はそれに少し息を吐いた。

無言でイルミの右腕に触れると念を発動させてその時間を戻す。

すると、何事もなかったかのようにイルミの折れた右腕は元に戻った。

はそれを確認すると歩を進める。

、何か俺に冷たくない?」

そう背中の方で聞こえたが、は気にすることなく廊下を進んだ。

廊下の曲がり角で少しだけ後ろを振り向いて。






ヒソカ、イルミと別れ珍しく、ふと二次試験が終わったあとのメンチの言葉を思い出したはメンチに合わないように注意しながら最終試験上を後にする。

外に出ると空は晴れていてまぶしい位の青空が広がっていた。

暫くそんな青空を眺めながら道を歩いているとどこからか自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

!」

ゴンだ。

首を声の聞こえたほうに向ける。

そこにはゴンの他に、レオリオ、クラピカも立っていた。

ゴンは訝しげな顔をするレオリオ、クラピカとは正反対に笑みを浮かべてこちらに駆け寄ってくる。

は無意識に穏やかな笑みを浮かべながらゴンを迎えた。

「どうした?」

はこれから何処へ行くの?もし、良ければ俺達とキルアのところへ行かない?」

突然の誘いに少々吃驚しつつ聞き返す。

「キルアのところ?」

「そう、俺達、今からキルアを迎えに行くんだ!キルアもきっとがいれば喜ぶと思うんだけど・・・」

そういうゴンを見下ろし、そうしてはその後ろに控えているレオリオとクラピカに視線を移した。

やはり、訝しげな表情は変わらず、何処か険しささえ、その瞳からは見て取れる。

はまたゴンに視線を移し口を開いた。

「いいえ、断るわ。他のお二人はあまり歓迎していないようだし、それにこの後、私事の用事が入っているのよ」

「え、それってどういう・・・「用事ってぇのは何だ?」

疑問符を浮かべ問うゴンの言葉を遮ってレオリオが問いただす。

はレオリオに視線を移して暫くじっとそれを見つめたが、やがて口を開いた。

「あなたに話す義理はないのだけれど・・・支障は来さないから答えるわ。知り合いと会う約束をしているのよ、それだけだわ」

「知り合いというのは?」

今度はクラピカが口を開く。

「それには答えられないわね。あなただったらプライベートなことを聞かれて答えるかしら?」

そう言うと視線を再びゴンに戻しその頭に手を置く。

「そういう訳だから、機会があったらまた会いましょう。これが連絡先」

柔和な笑みを浮かべつつ開いている方の手でどこからか出した名刺をゴンに渡した。

「じゃあね」

言って歩み始める

そんなに名刺から顔を上げたゴンが振り向いて叫ぶ。

「うん、絶対また会おうね、約束だよ!俺、連絡するから!」

背後で聞こえたその声に振り向く。

「ゴン、無茶はしちゃ駄目よ」

そう、普段の彼女に比べたら、多少声を張り上げつつ忠告すると、再び歩を進めるのだった。





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久々更新すみません;
そして、また微妙な文ですみません;
ヒロインちゃんに変化が見え始めたよ篇みたいな(どんなだよ
そして、イルミに冷たくしてみよう篇(うわぁ
いや、ホントすんません…よさ気ないい訳も見当たらないのでここらで逃走させていただきます(するな
では。



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