なぜこんなにも
考え難いことが起きるのか
まるで一生分を使い果たしてしまうような
そのぐらいの出来事
嬉しいぐらいの・・・
四次試験・2 〜お礼〜
森に入ったは取りあえず川を目指した。
まっすぐ川へと歩を進める。
がさっと音を立てて草むらを抜けるとそこは確かに目的の場所だった。
川岸へ歩み寄り徐に靴を脱ぐと、ズボンの裾をまくって川に足だけつけ座る。
そして、どこからかジュラルミンケースを取り出して中から本を取った。
それだけ済ますと、またジュラルミンケースをしまう。
それが終わると、ただ無言で本を読み始めた。
その本は一次試験のものよりも数十倍、分厚い本だった。
夕刻、本を読み終わりバタンと重たい音を立てて本をたたむと、ケースに仕舞う。
「(することないわね・・・ターゲットは大体目星がついた。あれなら別に急ぐ必要もないし・・・)」
一つ伸びをして体の筋肉をほぐす。
その時、後ろでガサッと音がした。
「・・・誰?」
ゆっくり首を動かして振り向く。
「!?」
声を上げたのは向うだった。
振り向いて認識した人物は・・・
「あ、確か、う●こ帽子」
「違ぁーーーう!ポックルだ!!!ポッ・ク・ル!!また、君はそんな下品なことを!」
激しく突っ込むポックル。
はただじっとしたまま座っているだけだ。
そんなの元にポックルが歩み寄ってくる。
「横、いいか?」
「ええ」
そう言ったの右となりにポックルが胡坐を掻いて座る。
「はもうプレートは取ったのか?」
「いいえ」
言いながらはチャプと音を立てて水を一蹴りする。
「いいのか?探さなくて」
「もう目星はついてる」
「そうか、そっちが本業だったな」
「・・・・・」
「す、すまない、不謹慎なことを言った」
「いいのよ、別に。本当のことだから・・・・傷はもういいの?」
「あ、ああ。お蔭様で。すっかり良くなった、ありがとう」
「礼なんていらないわ」
「そうか?」
「そうよ」
暫く沈黙が続く。
辺りは暗くなり始め、紫だった空も紺になっていた。
朱の太陽は沈み、白い三日月が変わりに高い位置に来る。
月のお陰で地上は未だ明るい。
ふっとが身体を右に倒した。
「うわっ、な、何だ!?」
「眠いから起こさないで」
「え、ええぇ!?ちょ、お、おい!」
慌てふためくポックルを尻目にはそのまま寝息を立てて寝てしまった。
ポックルは慌てながらも寝息を立てるを見下ろす。
「うっ(か、可愛い・・・・・・だが、起きているときとのギャップが激しすぎるーー!
つーか、俺、が起きるまで動けねぇじゃねぇか・・勘弁してくれよ、俺の気が持たん・・・!!)」
などと思いながら一晩、苦悩していたのだった。
「ん?(のわあああぁぁぁぁぁ!!!!)」
朝、日が昇り始めた頃、いつの間にか寝てしまったポックルが目を覚ますと、自分の目の前、膝の上には寝ているの顔が。
未だに川に足を放ったまま。
「(そうか、昨日からに枕代わりにされていたんだった・・・)」
「・・・ん・・」
身じろぎして目を覚ますと目が合うポックル。
「や、やあ。おはよう、。お、起こしちゃったか・・・?」
どこか引きつりながら言うポックル。
は眠たそうに目を開けている。
「おはよう・・・大丈夫よ、今、起きたから」
そう言って、身体を起こす。
眠気眼をこすると伸びをした。
そして、どこからか取り出したタオル二枚を左において昨日からずっと入れっぱなしの足を川から出す。
一枚で足についた水をふき取る。
靴を履き、立て膝をすると、今度は顔を洗った。
そうして、もう一枚のタオルで顔の水を拭く。
使われたタオルは、次の瞬間にはもう無かった。
「朝食にしましょ、魚、獲るから」
「あ、ああ」
そう言って、は魚を捕獲し始めた。
魚を焼きながらポックルが尋ねる。
「いいのか?火なんか使って・・・他の受験生に場所がばれてしまうぞ」
も木の枝に刺した魚を反しながら言う。
「火の用意していたときも言ったけど、大丈夫よ」
「そうか?」
「ええ」
そう言って二人は暫し無言のまま火を挟んで座っていた。
は今この場所を他の受験生に知られないよう、結界の様な念を使っている。
煙を消し、匂いを断つ為の念だ。
火の爆ぜる音も消しているが、二人の姿は消していない。
仮にこの場所に他人が来たとき、ここを通ると物体自体は消していないため見えない何かにぶつかってしまうと言う状態になるからだ。
だからあえて、二人の姿は消さないことにしたのだ。
ただし、この状況は結界の外でのことであり、中では自然体である。
魚に火が通ったのか二人が魚に手を伸ばす。
暫くはまた無言で魚を食べることにした。
火の後始末をポックルがしている。
はそれを見ながらただ突っ立っていた。
「よし、これでいいだろう。さて、はこれからどうするんだ?」
「探しに行くわ、ターゲットを」
「そうか、じゃ、ここでお別れだな。・・・一つ聞いていいか?」
改まって言うポックルをはただ見遣る。
「ええ、何?」
「なぜ、俺なんかと一緒にいたんだ?もしかしたら、君が寝ている間にそのプレートを盗って何処かへ行ってしまったかもしれないのに」
プレートを指差しながら言う。
「・・・それはないわね。あなたはもうターゲットのものを手に入れているでしょう?これに用は無いと思うわ。あとは眠かったからよ」
最後の言葉に肩を落とす。
「・・・・そう・・・・(てことは誰でも良かったってことか・・・)」
はそれを捨て置き踵を返す。
「じゃあ、わたしはこれで」
「あ、ああ。頑張れよ」
「ええ」
そう言って草むらに足を踏み入れてから何かを思い出したように首だけポックルに向けた。
「?どうした・・?」
「・・・・・わたしなんかと居てくれて、有難う・・・ポックル」
そう薄く微笑みながら言っては森の中へと入っていく。
最後の方は小さくてはっきり聞き取れなかったがなんとなくはわかった。
「え?あ、おい!」
いきなりのことでポックルが焦りながら呼び止めたが、が止まることは無かった。
「・・・あいつ、今、初めて俺のこと名前で呼んだ・・・・」
などと呆けるポックルだった。
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また試験とは関係ないじゃん;
今回はポックル夢か!?あっははーー(逝け
次で四次試験終わるかなぁ・・・・
終わるといいよね(誰にいっちょる
閉じてください
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