「」
第九話 ハント
船の縁に寄りかかって顔だけ海に向けているとクラピカに声をかけられた。
「ん?何だ?クラピカ」
向き直って聞き返す。
「隣、良いか?」
そう言って指差すクラピカには承諾の意を示した。
風が吹くたび、潮の匂いが鼻をつく。
横からクラピカの視線を感じてはそちらに顔を向けた。
「どうした?」
「いや、タワーの中ではの髪は純な銀だったような気がしたんだが、赤銅を帯びていたのだなと思ってな」
はそれに前髪を掴む。
「あ、これか?クラピカの言うとおり銀だ。光によって別の色を帯びるらしい」
「そうなのか?珍しいな」
そう言ってクラピカは驚きの意を示した。
は、ははっと笑いながら前髪から手を離す。
「そういえば、のターゲットは何番だった?」
クラピカに顔を向ける。
「・・・わたしのターゲットはクラピカじゃないさ、安心しろよ。ほら」
言って、微笑みながら見せたのは80と書かれたカード。
クラピカもふっと笑う。
「わたしも、じゃない」
言うと、カードを見せる。
そこには16の文字。
二人は暫く風を肌で感じていたがふとクラピカが口を開いた。
「はなぜ資格を?」
聞かれて空を見上げる。
「んー、いろいろあるけどな・・・一番はやっぱ、母さんに無理矢理申し込まれたから仕方なく、ってかんじだな。他は、行動範囲が広がるからな」
笑いながら、クラピカを向く。
「の母親は何をしている人なんだ?」
「いっつも暇してるぞ。しかも大抵はどっか放蕩してる。家に居るときはたま〜に親父の手伝いしてるが。あ、親父は診療所やってるんだ。医者さ。怪しい実験もしてるがね」
そう言って失笑するをクラピカは可笑しく思って笑った。
「そういう、クラピカはどうなんだ?」
聞くと、黙りこくるクラピカ。
はやばいこと聞いたかなと思いながら口を開く。
「言いたくなければ、話さなくて良いぞ」
「わたしの・・・わたしは、クルタ族だ」
はそれに、聞き覚えいや、記憶があってはっとした。
「クルタ族・・緋の目の」
「ああ、知っているのか?」
「詳しくは知らないが、感情が高ぶると緋の目に変わると・・・」
「そうだ。その緋は世界の七大美色に数えられている。四年前、幻影旅団に虐殺された。一人残らず瞳を抉られて」
「そう・・・か。なら、その旅団にこれを見せたら抉られるかもな(まさか、クラピカがクルタだったとは・・・その情報を旅団に売ったのはわたしだ・・・機会が来たら言おう)」
話題転換も含めてそう言うとはクラピカに向き直る。
そして、左目を示した。
「!それは」
「親父譲り。本当は両目なんだが、わたしは片目しか継がなかった」
「その瞳をもつ種族は虐殺されたと聞いたが・・・」
は瞳をもとの金に直す。
「あ〜、親父は運命だからしょうがない、っていって気にする様子無いんだよな。はっきり言って親父が後悔したり誰か憎んだりっていうところ見たことねぇしな」
「そうか」
二人はまた暫く、無言のまま風に髪を靡かせた。
四次試験の場となる、ゼビル島に着いたらしく、船が止まった。
はクラピカとともに下船場まで行く。
女の説明によると、ここでの滞在期間は1週間でその間に、6点分のプレートを集め、また最終日にここへ戻ってくれば良いそうだ。
下船の順はタワークリア順。
なので、まず、ヒソカが船から降りた。
はその次なので、船の下り場で二分待つことに。
島へと歩いていくヒソカを見ては、はっとした。
「(あいつ、怪我してんじゃねぇか!?タワーのとき気づかなかった・・・下船したらまずあいつのところへ)」
などと思っていると、二分たったようで。
タワーではまぁ、いろいろあったためそちらに気が向かなかったらしい自分に舌打ちして船を下りる。
草むらに入ると、一気に走ってヒソカの気を追った。
暫くしてヒソカの後姿を発見した。
「おい、ヒソカ!」
「ん?」
声に気づいてヒソカが後ろを振り向く。
「おや、わざわざ後を追ってきてくれるなんて、もしかして、ボクに気があるのかな?それとも、ボクが君のターゲット?」
「誰が貴様に気があるかっつーの、怪我してたみたいだからさ。傷見せろ」
「イヤ」
それには顔を引きつらせる。
「なんでだよ」
「ちょうちょさんと遊べなくなっちゃうだろ?」
そう言ってヒソカの周りに飛んでくる好血蝶を指差す。
「うえぇぇ、何が”ちょうちょさん”だよ」
「それとも、がボクの相手してくれるなら「願い下げだ、用があった来るかもしれないが、それまでさよなら」
ヒソカが皆まで言う前には一瞬にしてその場を後にした。
「つれないなぁ」
その場に残されたヒソカはまた何処へとも無く歩いていった。
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クラピカと話。
・・・ちょっと無理があ(殴
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