「あ〜、やっぱりいいな!久しぶりだぜ、この匂い!」





     第二十一話   墓参り








先ほど、レオリオと共にの友人でもあったピエトロの墓参りを済ませ、現在小高い丘を降りている。


レオリオの故郷でもあるこの町は海沿いにある町で、風が磯の香りと共に二人の髪を優しく揺らしていた。


「茶でもしてかねぇか?丁度、あそこに喫茶店が見えてきたことだし」


不意にレオリオが口を開く。


はレオリオの方を向いて短く答えた。


「ああ、いいな」







喫茶店に入り、窓際の二人がけの席に向かい合わせで腰を掛けた。


そこからは海が良く見渡せる。


とりあえず、二人して同じもの、コーヒーを注文しては窓越しにも爽やか過ぎるぐらいの青天井を見上げた。


、お前はこの後どうするんだ?何かすることでもあるのか?」


レオリオがそう聞くと、は視線をレオリオに移す。


「いや、特にすることってぇのはねぇんだが・・・どうかしたのか?」


右手で頬杖をつきながら聞く。


それにレオリオはどこか慌てた風に答えた。


「いや、別に何もねぇけどよ、何となく聞いただけだ」


「そっか」


それから暫く沈黙が流れる。


は窓の向こう側に広がる水平線を行く船を何となく目で追った。


「ピエトロは・・・・・」


不意に口を開く。


何処を見る分けでもなくただ、ぼうっとしていたレオリオがその言葉に反応する。


しかし、耳を傾けるだけで。


再び、が口を開く。


「ピエトロの最後は看取ったのか?」


丁度その言葉が終わるか終わらないかというところで注文したコーヒーが二人の卓上に置かれた。


の視線は未だ水平線上の船にあり、そして未だ頬杖をついたままだ。


口だけを開いて言葉を紡ぐ。


レオリオはそんなの横顔を、店員が注文したものを置く動作をただ見つめていたが、やがて声を発した。


「いや、俺が駆けつけたときには、もう」


「そうか・・・」


呟くようにそう言うと静かに目を閉じた。


それは、追悼の意を込めているようにレオリオには感じられた。


ついさっき墓前で手を合わせてきたというのに、今、またここでもピエトロのことを思ってくれている。


そう思うと、が”殺し”を生業としていることなどレオリオには嘘のように思えてならなかった。


・・・」


そう、レオリオが口を開いたとき、がその閉じていた瞳を勢いよく開けて一転、声高らかに叫んだ。


「だぁー、やめだやめだ!悲観に浸かるのはここまでだ、冷める前に飲もうぜ!冷めたら不味いからな」


言って、卓上に置かれたカップを一つ取り、砂糖も何も入れずに口へ運ぶ。





「いつまでも浸ってたって仕様がねぇ、んなことしてアイツが喜ぶわけでもねぇし、墓前で誓いもしてきたことだ。
 こっからはそれぞれの道を行こうじゃねぇか!なぁ、レオリオ!」


その言葉に暫く吃驚して何もいえないレオリオだったが、間もなくに笑顔を見せた。


「ああ、そうだぜ、これからがんばらねぇとな!」


その後も何か意気込みを口走りつつカップのコーヒーを飲むレオリオをただは笑って見ていた。


久しぶりの、水入らずの雑談を交わしながら・・・










喫茶店でのティータイムを終わらせ、とりあえず家路に着く。


まだまだ陽は高く、あの爽やかな色合いの青天井は健在だった。


石畳の路を歩きながらがレオリオに言う。


「そういえば、お前これから医学の勉強するんだったよな?」


「おう、医者やるにしてもなんにしても、まず医大に受からないといけないしな」


「んじゃ、ちょっとウチよっていけよ、あまりに多かったもんで置いていった医学書が何冊かあった筈だ」


「いいのかよ!?親父さんのだろ?」


これにはレオリオにとって寝耳に水のことだったらしくかなり吃驚している様子だ。


は無意味にガッツポーズをしてみせる。


「構わねぇよ、どうせ使ってねぇしさ」


「そう言うんなら遠慮なく貰うかな」


「よっし、決まりだな。んじゃ、まずウチ行くぞ」


そう満面の笑みで言って見せるとは石畳の路を駆け出した。


「・・・!」


「おーい!何やってんだよ、先行くぜ!」


駆け出した足を一旦止め、レオリオを振り向いて言った。


が、間もなくまた駆け出す。


「・・・・・・ついでにお前も貰いたい、なんて絶対ぇ言えねぇな」


先をどんどん行くに、そのレオリオの密かな苦笑交じりの願望とおおよそ似つかわしくない赤面は知られることは無かった。








「人体解剖学、細胞の神秘、増え続ける疾患、臨床医学、外科学、内科学、医術体系ー念・燃ーその他云々かんぬん・・・」


そう本の題名を読みながら横に控えるレオリオに渡していく。


それを受け取るレオリオはもう既に本に隠れて見えない。


「お、おい、待て、もう持てねぇよ!取り合えずストップ」


そのどこか悲痛なまでの叫びには顔を上げてレオリオに向ける。


「ん?あぁ、悪ぃ」


「本当に悪いと思ってんのかよ!?」


「いや」



  ずるっ・・ドサッ!



思わずその場でこけるレオリオ。


はそれを見下ろす。


「自分で片付けろよ、ソレ」


その時だった。



  プルルルルルルル、プルルルルルルル・・・・



の携帯が受信音を鳴らす。


「ああ?誰だよ」


通話ボタンを押す。


「はい、こちら、よろず屋・・・はい、そうですが・・・・・・はい・・・」


そう、受け答えながら部屋を後にする。


恐らく、いや、そうでなくても仕事の依頼なのだろう。


レオリオは本に埋もれたまま上体を起こし、部屋の外に出て行ったを無言で見送る。


立ち上がり、落としてしまった本を近くにあった机に置いてじっと扉を見つめた。



しかし、予想に反して、その扉は然程の時間をかけずして再び開かれた。


の言葉と共に。


「悪ぃ、悪ぃ、この後暫くお前に付き合っていようと思ってたんだが、
 急な依頼が入っちまってな、これからその依頼主との待ち合わせ場所に行かねぇといけなくなっちまった」


それにレオリオが言う。


「殺し・・・か?」


「いいや、というより、まだ具体的な内容はわからねぇんだ、だからそれをこれから直接会って聞く。
 ま、安心しろよ、私も理不尽な依頼を受ける気はさらさらねぇからな」


それにレオリオは黙っていたが、暫くしてにかっと笑うとに行った。


「ああ、わかった。俺はこれから猛勉強して医大、そして医者を目指す。、お前はお前の仕事をこなす。
 とりあえず、一段落着くまではまた、お別れだな」


つられても笑う。


「今度はもうちょっとゆっくり出来るといいな・・・おっと、そろそろ行かねぇと間に合わねぇ」


そう言って何処からか出した懐中時計に目をやる。


踵を返し、じゃあなと短く言ってドアノブに手をかけた時だった。


「次は9月1日ヨークシンシティでまた、会おうぜ」


首だけ向けて言う、


「・・・おう」


ついでに笑顔なんかも添えて・・・






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何じゃこりゃ?
てか、何で微妙にしんみりした話になってんの?(聞くな
とりあえず、レオリオとじっくり(?)話してみよう篇(謎なタイトルつけるなよ
え〜まぁ、何と言うか、やっとこさ次から天空闘技場にいけるかなという感じですか。
早く旅団と絡ませたいんですが・・・ね(何だよ
何はともあれ、読んで下さって有難う御座いました!


読まない方は閉じてください









































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