「やっぱりここに居たのか・・・しっかし、物好きだな、お前も。てかさー、弟に気圧されてるなよ、ミルキ君」
第十八話 ゾルディック3
薄暗い独房。
光は窓から差す明かりだけで、しかし、そんな僅かな光であるからこそ禍々しく見える幾つもの拷問器具。
そこに確認できるには3人の影。
キルア、ミルキとそして先ほどの声の持ち主、だ。
声に気づいて顔を上げるミルキ。
そうして、そこに見えたのはどこから来たのかも不明な窓枠にしゃがみこんでいる。
同様にキルアもそちらに興味を向ける。
いや、寧ろ驚いていた。
「な、勝手に入って来んなよ!!!頼んでおいたヤツは持ってきたんだろうな!!」
イライラしつつ叫ぶミルキの言葉を嫌味の意味を込めては片耳をふさいだ。
「うるせぇなぁ、ぎゃあぎゃあ喚くなよ。お前の部屋行ってもいねぇから適当に置いてきたっつーの。
ていうかな、んな態度取るならこれからお前の仕事だけ金輪際請け付けねぇぞ。序でにお前のフィギア全部ぶっ壊すよ?」
それに、ミルキは引きつつうろたえる。
「わ、わかったよ。悪かったよ、。・・・で、他に用があるのか?」
「特にねぇけど傍観を決め込もうと思って。・・・元気かキルア?」
そう言って、キルアに話をふる。
キルアはちょっと無理な体勢で後ろを完全に向くことが出来なかったが、本当に驚いているようで。
「・・・なんで・・・」
「なんだ、キル。お前知らなかったのか?は・・・」
コンコン・・・
「入るぞ」
ミルキの言葉を遮ってこの独房に入ってきたのは彼らの祖父のゼノだった。
はそちらに視線をやりゼノに声をかける。
「あ、先日からお邪魔してます、ゼノさん」
「おお、か。知っておるよ、まぁ、ゆっくりして行くがよかろう」
そう、ゼノは返すと、今度はミルキのほうに視線をやった。
「ところでミル、もう、その辺にしておけ」
その言葉にミルキが声を上げる。
「でもゼノじいちゃん!コイツ全然反省していないんだぜ!」
「そんなこたぁ、わかっとる。キル、もう行っていいからな」
「あ、ああ・・・」
軽く返してキルアにそう伝えるゼノ。
キルアはまだ先ほどまでの驚きがまだ抜けない感じで少々間の抜けた返事をした。
しかし、しっかり自分で繋がれていた鎖を外す。
「兄貴・・・俺、反省はしていないけど悪いとは思っているんだぜ。だから大人しく殴られてやったんだよ」
「〜〜〜〜〜!!!」
そう噴門するミルキとぬけぬけと言い捨てるキルアには笑いながら傍観していた。
歩き始めたキルアにゼノがもう一つ付け加える。
「キル、シルバが呼んどるからな」
「親父が・・・?」
それにまた驚いたように呟く。
そうして、間もなくもう一つの言葉が返ってきた。
「わかった」
そう言って扉を後にするキルアが向けた視線には気づいて取り合えず、柄にも似合わず愛想笑いなど浮かべてみた。
扉の閉まる音がしてから暫く後に、ミルキが手にしていた鞭を床に叩きつけた。
「くそ〜〜〜〜〜!!甘いよ、大体じいちゃんはキルアにさ!!だから、あいつが付け上がるんだよ!」
「(あぁ〜、怒ってる、怒ってる)」
「アイツは特別だからな」
そんなミルキに反して返ってきたゼノの言葉がコレ。
「ミル・・・お前から見てキルアの力量はどうだ?」
「そりゃ凄いよ」
なんだか話し始めた彼らを尻目に、は窓枠から飛び降りるとキルアが先ほどぶっ壊した枷を手に取った。
そうして、まじまじと見る。
「(ふ〜ん、流石というか何というか)」
床に枷を落とすとは扉に向けて歩き始めた。
階段で上るのが面倒なのでジャンプして最上段まで上る。
扉に手をかけたところで、話が終わったのかゼノに声をかけられた。
「ところで、。どうじゃ、決まったか?」
「・・・何のことですか?」
なんだか嫌な予感が頭をよぎりつつ聞き返す。
「イルミとの婚約の話じゃ」
「(やっぱり・・・またか・・・・・・)」
そんなことを思いつつ頭に手をやる。
間もなく口を開いた。
「わたしには勿体無い位のお話ですので前から言っておりますようにお断りいたしました」
「こちらはちっとも構わないのだがの」
「・・・ははは、そうですか」
乾いた笑いを浮かべ微妙に顔が引きつる。
そこに、それを聞いていたミルキが口を挟んだ。
「イルミ兄が駄目なら、俺とならいいだろ?」
そう言ったミルキには
「(何でそうなんだよ・・・)」
などと思いつつミルキに視線を向け言い放つ。
「お前は黙ってろ、馬鹿に用はねぇ」
その言葉にミルキはいよいよ落ち込み、床に8の字を書き始めた。
「巨体でそれはウザイから他でやってくれ」
ますます落ち込み、独房の壁の角の方で丸くなるミルキ。
そこだけ空気が違う・・・
ゼノはそれに汗を浮かべる。
「では、ゼノさん、そういうことですので、失礼いたします〜」
はそれだけ言い残すと、そそくさと独房を後にしていった。
「はぁ、カルトもいねぇし、何して暇潰すかな・・・」
そんなことを思いつつ、は無駄に広い廊下を目的もなく歩く。
ここの家の廊下には窓というものがついていない。
いや、殆どついていない。
今、が歩く廊下も然り。
独房から抜け出してから、大分長い間、無駄にここの邸内を歩き潰したが目敏いものもない。
そんなこんなで今に至っているわけだが、いよいよこの退屈さに嫌気が差してきたのか、はシルバの部屋へ少々お邪魔することにした。
キルアとの話もそろそろ終わっていい頃じゃないのかというところだ。
まぁ、人の家族間での会話に口を出す気は全くないが。
「お嬢様」
シルバの部屋に向かっていたとき、廊下で不意に声をかけられた。
声のした方を向くと、そこに居たのは一名の執事。
「・・・頼むからそれで呼ばないでくれ・・・・・・」
頭を抱え、さも嫌そうに言う。
執事はそれを気にしていないのか、それとも外に出していないのか、どちらにせよ動じた様子もなく言葉を続けた。
「畏まりました。では、様。ご主人様がお呼びです。部屋まで来てもらいたいとのことです」
「シルバさんが?わかった、あんたもご苦労さん」
「いいえ」
用件が済んだのか、執事は壁際により頭を下げた。
はそれに気にすることなく廊下を進む。
その執事は、どうやら、自分の姿が見えなくなるまであそこでずっと頭を下げ続けていたようだった。
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すんません;まだ、ゾル家に居候(?)してます。。。
今回でやっとこさゾル家を去る予定だったのに・・・
次こそ絶対に去りますので(本当かよ
いい加減、天空闘技場篇書きたい・・・
もう読まない人は閉じてくださいね
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