「こちらへどうぞ」







  第十七話   ゾルディック2










部屋を後にした後、流石と言うか何と言うか、シルバに旨を聞いたのであろう執事一名が
今しがた掃除したと言う空き部屋に案内してくれた。


部屋を後にしてから数分も立たないうちにだ。


案内された部屋はそれなりに大きくて必要最低限のものは揃っていた。


部屋に入って、右正面に見える天蓋付きの一人で寝るには大きすぎるぐらいのベッドに腰を下ろして、
取り敢えず一息ついた。


なんとなく、部屋をぐるりと見回していると、間もなく、左正面に見える扉が開く。


そこから顔を出したのはつい、数十分前に別れたカルトだった。


振袖を揺らしながらの下へ歩み寄る。


「僕の部屋に直接来てくれれば良かったのに」


そう言っての左隣にちょこんと腰をかけた。


「悪ぃ、悪ぃ、執事が部屋用意してくれたんで直接行けなかったんだ、
わざわざ掃除なんてしてくれなくても良かったんだけどな」


頭をかきながらは特に意味なく天井を見上げた。


「ところでさ」


カルトが話を切り替えながらを覗き込むように身体を傾ける。


、またあの話したんでしょ?」


「あの話?」


意味がわからないと言った風にが鸚鵡返しに口を開く。


「うん、イルミ兄と結婚するって話」




   ずるっっ




「大丈夫?」


「何とか・・・」


激しく滑ってベッドからずり落ちたをカルトが身を乗り出して見下ろす。


因みに、もしこの場で茶でも啜っていたら激しく噴出していたことだろう。


そんなを尻目に、カルトは天井を見上げながら話を続ける。


「あ〜あ、がイルミ兄と結婚してくれればいつでも、と遊べるんだけどなぁ・・・
 はなんて返事出したの?」


やっとと言った感じではベッドにすがって体勢を整えると多少顔を引きつらせながらその問いに答える。


「・・・・・・断ったよ・・・それに、遊びたかったら、いつでも連絡くれれば時間空いてる限り遊びに来るって」


言って、ベッドに腰掛ける。


額には汗すら浮かべて。


「でも、やっぱりいつも居てもらった方が僕は嬉しいんだけど」


「あははーー・・・そう言ってもらえるのは嬉しいが、あの能面とそんな毎日顔あわせていたら数日も経たないうちに死んじまうよ」


何気に激しく失礼なことを言いながらは頭を抱えた。


そして、その出来事が起きたのは、ほぼそれと同時ぐらいだった。


「誰が死ぬの?」


「わたしが」


「どうして?」


「そりゃ、アンタ、お前と毎日・・・・・・ん?」


背後からの話しかけに何を気にするわけでもなく受け答えていたが違和感に気づいて後ろを振り向く。


そこにいたのは


ぎょわぁぁあああああ!!?い、イ、イルミ!!・・・・・・
さん


超瞬速で反対側の壁まで後じさる


最後に申し訳なさ気に付けた”さん”が激しく不自然。


それが聞こえていたのか、いないのか突然現れた(様に動転したには見えた)
イルミはさして気にする様子もなく右手を顔の近くまで上げて短く言った。


「や」


「イルミ兄、帰っていたの?」


カルトが先ほどから思っていた疑問を投げかける。


そう、は気づいていなかったがカルトは既に気づいていて、ずっとそれを横で傍観していたのだ。


「うん、まぁね。直ぐにまた仕事に出るけど、・・・一体何の話をしてたんだ?」


「えっとね、イルミ兄とがけ「なぁんでもなくてよ」


カルトが皆まで言わないうちには即座にカルトの口をふさぐ。


そして、普段絶対使わないようなお嬢口調。


不自然な笑顔。


カルトはもがいての手を離そうとする。


イルミはいつもと変わらず無表情。


妙な沈黙が流れた・・・


・・・が、意外にもその妙な沈黙を破ったのはイルミだった。


「ていうか、、俺の部屋使っても良かったのに」



   ずざぁぁぁっ



本日二度目の転倒。


カルトはやっと手を離してもらえたことで取り敢えずは胸をなでおろす。


は床に手を突いて上体を起こしつつ口を開く。


な、なぜそれを・・・


「さっき、親父に聞いた。いいじゃん、俺と結婚しなよ、


だ・れ・が!!!っていうか、お前仕事あんだろ!?さっさと行けよ


強調しつつ、イルミを指差して言う。


「えぇー」


「無表情でしかも棒読みで”えぇー”とか言うな、キモイ


しかめっ面では言うが、そこに少しも動じないのが流石イルミさん。


「酷いなー、も十分ヒソカなみにキモイでしょ」


わたしはキモクなぁぁい!!っていうか、奴と一緒にすんなって言ってんだろが!
・・・じゃなくてさっさと仕事行けよ!!



(多少加減はしつつっていっても、念発動してないだけ)床を拳で叩きつつ、指差しつつ、
未だに床に座り込みながらイルミに言う。


暫くイルミは何も言わず、じっとを見ていたが徐に口を開く。


「それもそうだね、そろそろ行くよ」


言って、ベッドから降り、窓に手をかける。


そこで、ふと振り向いた。


そして、思い出したように言う。


「あ、そうだ、いくらカルトでもに手を出したら許さないからね?」


「うん、わかってるよ。僕はと遊んでるだけ」


「ならいいよ、じゃ」


それだけ言うとイルミは窓にかけていた手を軸にしてその窓をひょいと飛び越した。


因みにここは二階である。


一階ごとの天井の高さ7メートルの。


まぁ、彼ら超人だからなんてことはないけどね。


「はぁ、とんだ目に遭ったぜ、てか、なんでわたしがイルミにびくびくしなきゃなんないんだ・・・」


そう言ってイルミが完全にいなくなったことを確認するとその場に立ち上がって軽く服をぱんぱんと手で払った。


「ねぇ、


「ん?」


そんなを見ながらカルトが何か手にしながら呼びかける。


「これで遊ぼ?僕、前より少しは速くできるようになったんだよ」


言ってその手に握っているナイフを宙に投げてキャッチした。


ナイフで遊ぶ・・・


そう、カルトが言っているのは、あの、指の間を超高速でナイフを刺していくというアレだ。


しかも、その持っているナイフはあの超高いベンズナイフ


切れ味はかなり保障されている。


「お、いいねぇ、やろう!じゃ、まずカルトからな」


言って床に膝をついて手を広げて見せた。


「うん」


そう言ってカルトはベッドから降りるとの下に来て膝をつき、
ナイフを持っている右の振袖を左手で抑えて構えた。


そして、前触れもなくそれを始めた。


一般人が見れば何が起こっているのか解らないほどに早く動く手とその手に握られたナイフは、
正確にの床に置かれた手の指と指の間をカツカツとならして突いていた。


そうして、親指から小指までの間を何往復かして止めた。


「ね、どう?前よりも早かったでしょ?」


「おう、大分早くなった!よぉし、んじゃ今度はわたしの番な!」


そう言って、はカルトからナイフを受け取ると今度はカルトが床に手を置いた。


そうして、先ほどのカルトよりも比べ物にならないくらい
(っていっても一般人には元々見えないので解らない)の速さで、しかし、正確に彼の指の間を突く。


「わぁ、やっぱりは凄いね!」


「ははは、そんなことねぇって、カルトももう少し練習すればできるようになるさ」


まだその動作は現在進行形で、はっきり言ってそんなアブナイことやっている最中に会話するなよっていう突込みが・・・


そんなこんなで、彼女らはこれから日が暮れるまでこのアブナイ遊びを続けたらしい。


気づいたら石製の床が欠けていたとかいないとか・・・






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・・・すんません、結局進展することなく、おまけ的な話だけで終わってしまった;
次は多分、この家を去れる筈(オイ




閉じてください





















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