「・・・?」
第十六話 ゾルディック
暫く敷地内を道なりに真っ直ぐではなく、先刻の通り文字通り真っ直ぐ進んでいたにどこからともなく、誰かが声をかけた。
高めの声で、幼い声音。
は声のした方を振り向いてそれに応える。
「カルトか?」
が声をかけた茂みからガサッと音を立てて紺地に紅の牡丹の華が描かれた着物姿の一見、少女が姿を現した。
「そう、僕。今日もは仕事でここにきたの?」
「ああ、シルバさんとミルキの依頼。ミルキの方はブツ届けに来たんだけどな。しっかし、いつ見てもカルトは可愛いよな、その着物よく似合ってるぜ」
そう言われたカルトは特にこれと言った反応も示さずにの下へ歩み寄る。
「ありがとう、でも僕、男だよ。男に可愛いって言うのは変なんじゃない?」
それにはあははと笑ってカルトの頭に手を置いた。
「可愛けりゃいいんだよ、男に使ったって、本当のことだしな。カルトが嫌ならやめるがね。あ、キルアも可愛い部類だな」
「嫌じゃないけど・・・・なんだか複雑な気分。でも、それキル兄に言ったら絶対殺されるよ、。」
「ああ、そうだな・・・・マジで切れそうだ」
そう言ってその時の状況を半ば妄想に近い形で思い浮かべながら顔を引きつらせた。
「じゃあさ、ミルキ兄や、イルミ兄はどんな部類?」
聞いてくるカルトには顔を向け、そして、顎を手にやって視線を宙にやった。
「んーー、ミルキは性格は意外と可愛いんだがな、ムキになるところとか・・・イルミは・・・・問題外だろ」
「問題外なんだ・・・ミルキ兄を容姿で判断すると?」
「問題外」
「即答だね」
「ああ」
不思議な沈黙が二人の間に流れる。
タイミングよく鳥のさえずりが聞こえた。
ほんの暫くのうち、が”さてと”と切り出して腰に手を置く。
「そろそろ行くかな、んじゃ、また後でなカルト」
「あ、待って、僕も行く。終わったら一緒に遊んでよ」
「ああ、構わん。んじゃ、行くか」
それにカルトがうんと頷きゾルディック本邸へと向かった。。
高速で走るに半ば遅れる感じでカルトが後を追いながら。
シルバの部屋に行く途中の通路でカルトと取り敢えず別れ、は一人でシルバの部屋の目の前まで来た。
正面で立ち止まり中へ声をかける。
「ですが、いらっしゃいますか?」
程なく中から声が聞こえてきた。
「ああ、開いている」
「では、失礼します」
そう答えては部屋の扉を開けた。
開けて直ぐ正面に大きなソファに座っているシルバを確認して前へと進む。
そうして、2,3メートルほど近づくと歩を止めた。
「今日は一段と早いな・・・少々驚いた」
そうシルバに言われは、ははっと笑ってみせた。
「実はあの電話を貰ったとき既にククルーマウンテンの麓まで来ていたんですよ」
「成る程・・・で、早速だが、依頼したいことがある」
「もとよりそのつもりで来ましたから」
そう言うとシルバはそうか、と笑った。
「では、本題に入ろう、次の暗殺の依頼でな白凰城という城の主を殺るようにと依頼されたのだが、この城の主が相当のカラクリ好きでな・・・
被害を最小限に食い止めるためにこのカラクリの詳細と各場所に配置されている警備の状態を正確に知っておきたいのだ、出来るか?報酬は4億でどうだ?」
それには口端を上げ、ニヤリと笑う。
「お安い御用です、それと、報酬はその半額でいいですよ。少し待ってくださいね」
そう言うとは右手の甲にあるタトゥーに何事か小さく呟くと左手にノートパソコンを出した。
そう、フェンミナの家を出てくるときに母、マリーナに頼んだ念を使ったのだ。
は、その左手に取り出したノートパソコンを開き、起動させると右手でキーを高速で打ちは始めた。
シルバはただそれをソファに腰掛けて見ている。
暫くしてが口元に笑みを浮かべたかと思うと最後にキー(Enter)を押した。
すると、ノートパソコンの右ボディからB5サイズの用紙に地図のようなものが印字されたものが出てきた。
このノートパソコンは特製で多機能になっている為仕事には持って来いだ。
・・・というより、仕事用に作ったのだが・・・・・。
その印字し終わった用紙を手に取ると、またタトゥーに何事か告げて左手に有ったノートパソコンを仕舞った。
「出来ましたよ、これです」
そう言って、シルバに出来上がった用紙を渡す。
シルバはそれを受け取りながら顎に左手をやった。
「本当に流石だな」
「まぁ、これが仕事ですから」
そう笑うを見て、つられてシルバも笑いながら紙を自分の横に置きながら口を開いた。
「内容も申し分ない、入金は執事の方に連絡しておくからそこで確認してくれ」
「承知しました、では、これで・・・」
「ちょっと待て、少し話をしないか?」
そう、背中に言われ、はシルバを振り向いた。
一抹の不安を抱えて。
「こちらに来て座れ」
そう言って、シルバは自分の座っている大きなソファを指で座るよう催促しながら示す。
は断れそうにないそのことに渋々従い、ソファまで進むと、シルバの横に腰を下ろした。
「・・・え、と、で、何の話でしょうか・・・・・・?」
そう、はどこか恐る恐るといった風に、いつものらしからぬ雰囲気で上目遣いにシルバを見る。
シルバはそれに、膝に両肘を当てそうして組んだ手の甲に顎を乗せてを見据えた。
その口元には意味不明の笑みさえ浮かべている。
「なに、前にも話したことだ。どうだ、イルミに嫁ぐ気にはなったか?」
それに、はやっぱりだ、と心の中では盛大に頭を抱え気分をどん底に落とした。
心なしか、普通に見てみてもどこか落ち込んでいるように感じられる。
シルバはそれに気づいているのかいないのか、ただ話を進めた。
「どうだ?悪い話ではないと思うのだがな・・・気にするな、お前の親には既に了承を得ている」
「!!なっ・・・・・・」
なんだってぇっっっっ!!!?、と盛大に叫びそうになるのをはなんとか両手で口を塞ぐことで抑える。
シルバはそれに不審を覚えて口を開く。
「どうした?」
「い、い、い、いえ、何でもありません・・・!!」
言いながら、は両手を顔の前で振った。
ついでに、首も横に振った。
「(くそ、母さんの奴何考えてやがる・・・!勝手に話進めるなよな!!)」
そんなことを額にうっすら青筋を浮かべながら思う。
「そうか?なら気にしないが。で、返答は?」
凄い期待しています、と言わんばかりの表情をしてシルバはの顔を覗き込む。
「前にも言いましたが、わたしにはもったいないぐらいのお話ですのでお断りします。
それに、まだわたしは何所にも嫁ぐつもりはありませんから」
そう言って、はひきつった笑みを浮かべ立ち上がった。
では、と軽く会釈をして扉に向かって歩を進める。
その背に向かってシルバが口を開いた。
「いい返事を待っている」
それにはこれまた引きつった笑みで振り向いた。
「は、はいぃぃ(だから、婚約しないって)・・・・・・あ、部屋を一つお借りしたいのですが」
「なら、イルミの部屋でどうだ?丁度、今、仕事で居ない」
笑って言うシルバに一瞬だけは固まった。
「いえ、それはちょっと・・・」
「冗談だ、空いている部屋を適当に使って構わん、執事にも言っておこう」
そう言って、豪快に笑い出すシルバを残して、は肩を落としながら部屋を後にした。
「(シルバさんの冗談は冗談に聞こえねぇって)」
などと思いながら。
←back|next→
本当はもうちょっと長い話になるつもりだったんですけど・・・
長くなりすぎてここで区切りました;
はっきり言って、この「ゾルディック」と「ゾルディック2」の話は
本編とはほぼ何にも関係がない話です;
趣味に走っただけの話・・・(爆
少しは関連するところあるかもしんないですけど(え
ていうか、カルトってイルミやミルキやキルアのことなんて呼んでるんだろう・・・
素朴にそう思った。
そして、シルバの冗談って冗談に聞こえないんだろうな、とか思いながら書いてみた。
ヒロインはシルバには頭が上がりません。
だから、常ではあまり使わない敬語。
でも、それも微妙な敬語。
ああ、何書いてんだろう(意味不明
では。
04/11/03 一部変更
閉じてください
【お買い物なら楽天市場!】 【話題の商品がなんでも揃う!】 【無料掲示板&ブログ】 【レンタルサーバー】
【AT-LINK 専用サーバ・サービス】 【ディックの30日間無利息キャッシング】
【1日5分の英会話】