「ありがとな、サトツさん」








  第十四話   休憩










言ってが今、手にしている木箱にはハンター試験の一次試験の折、サトツから貰う予定となった『夜風の香炉』という骨董品が入っている。


全長15pほどで小ぶりといっては小ぶりな香炉だ。


は骨董品などアンティークなものには目が無いので仕事の合間によく集めていた。


「いえ、いえ、お礼なんていりませんよ」


そう言ってサトツは簡素な家の門での見送りもかねて立っていた。


はサトツの言葉に笑い返す。


「じゃあ、わたしはそろそろ行くから。また、何か用があれば連絡くれよ、特別料金で受けるから」


「ええ、お願いします」


二人は互いに笑い合うと短くが別れの言葉を告げた。


サトツも手を振りながらの背中を見送った。











フェンミナの周りを囲うように在る森の中を突き進みながらはにやにやしていた。


勿論、ハンター試験会場に行った時の様に高速で走っているが。


「やっと、手に入れたぜ夜風の香炉ちゃんふふふ、何処に置こうかな〜」


鼻歌が混じるぐらい気分の乗ったの目前に国の門が見えてきた。


直前で足を止め、バッグから身分証名書を出してそれを提示しながら門をくぐった。


その瞬間から周りからまたあの黄色い声が飛び交っては顔を顰めながら家路を急いだ。







「たっだいまーー!」


 
バタァアァンッッ―――・・・


そう言って勢いよくは家の扉を開けた。


「お帰りー、ていうか、扉は優しく開けようって
いっっっつも言ってるわよねぇ、母さん


目の前に娘の帰りを迎え(?)にきた母のマリーナは恐ろしいほどの笑顔を向けてお出まし。


口は笑ってるが目は笑ってない。


は顔を恐怖に引きつらせながら扉に背をつけた。


「す、すみません、お母様」


「次は無いわよ?」


「承知いたしました」


マリーナはまだ引きつっているに”ま、あがんなさいよ”と促して奥に入っていった。


「(やべぇ、やべぇ、浮かれすぎてすっかり忘れてた・・・危うく寿命を減らすことに)」


そんなことを思いながらはとりあえず自室へ入ってサトツから貰った香炉をいくつかある洋灯の近くに置くことにした。











シャワーから上がったはジーパンにキャミソールという格好で髪をタオルで拭きながらリビングに入った。


そこではマリーナがなにか支度をしていた。


「あれ?母さん、出かけるのか?」


トランクにいろいろ敷き詰めている工程をを覗き込みながらはマリーナに聞く。


マリーナは手は動かしたまま、顔もそちらに向けたままでの問いに答える。


「うん、天空闘技場から挑戦状が出たって知らせがきてね〜ちょっと行ってくるわ」


変わらずは髪を拭いている。


「ふ〜ん。そういえば、母さんマスターだったね・・・で、いつ帰ってくるの?」


「わからな〜い、試合受けたらあと適当に遊んでから帰ってくるわ、ジンでもからかいにいこうかしら」


言って、むふふと笑うマリーナをは半ば呆れて見ていた。


「あんたはこの後どうするの?」


マリーナがを振り向いて聞く。


はリビングの南側にある窓に歩み寄った。


「とりあえず、ゾルディックの次男から依頼受けてるし、三男にも用があるからパドキアに行く」


窓の外を覗き込みながら髪を拭く。


「その後は?」


「特に決めてないけど・・・家には帰らないよ、多分」


それを聞いてマリーナは珍しいと言ったようにを見た。


は髪を拭いていたタオルを首にかけてマリーナを振り向く。


「あ、そうだ!母さん、デカイ荷物とかいろいろ持っていくの邪魔だから、アレやって欲しいんだけど」


がアレと間接的に指してマリーナに言う。


マリーナは不敵な笑みを浮かべての下に歩みよりながら口を開いた。


「いいわよ。実はね、母さん、あんたには内緒でアレが半永久的に持続するように修行したのよ、うふふ」


の右隣で止まって覗き込むように笑う。


は顔を引きつらせた。


引きつらせずにはいられない・・・


「さ、右手出しなさい」


マリーナの言葉には無言で引きつつ右手を甲を上にして差し出す。


差し出された手の甲にマリーナは右手の人差し指と中指をそろえて乗せると目を閉じた。


そこにオーラが集中するのがわかる。


甲にちりっとした熱さと痛みをが感じると瞬間そこには逆十字に一枚だけの葉を象った羽根を付けたタトゥーが浮かび上がった。


はそれを確認すると間髪入れずに口を開く。


「前と変わってないじゃん」


「見た目ではわからないけど、わたしが解除するまで使えるわよ。見てわかるんだとしたら、骨にまで焼き付けてあるわ」


「げぇ!?」


「今さらでしょ、それにたかがそれだけに驚くほどのものでもないじゃない」


「左様で・・・」


「いつもの部屋と繋げておけば良い?」


「それで良いです、はい」


”OK”とマリーナは相槌を打ってリビングを後にした。


恐らく、の言う”いつもの”部屋に行ったのだろう。


はマリーナの入れたタトゥーをまじまじと見る。


言うまでも無くこれはマリーナの念能力の一環だ。


このタトゥー同士で結ばれた空間を一繋がりとしてどんなものも取り出すことが出来る能力だ。


タトゥーに向かって念じれば目の前にそのものを出すことが出来るが、繋がったもう片方の場所にあるものしか当然のことながら引き出すことは出来ない。


もちろん、こちらから送ることも可能なわけで。


いろいろ便利な能力である。


マリーナがリビングに戻ってきたらしく、扉を閉める音が聞こえた。


「そういえばさ、親父は何処に行ったの?」


「薬草採りに外へ出たわよ。明日帰って来るらしいけど」


「そっか。んじゃ、暫く会わないかな・・・」


言いながらは考えるような仕草をする。


「何、今日出かけるの?」


「うん、着替えてもう出ようと思ってる」


「そ。まぁ、母さんももう出ようと思ってるんだけどね」


そういわれれば、いつの間にか服装が出かけ用の動きやすい服になっている。


”わたしも着替えるか”そう一言残しても着替えにリビングを出て行った。







「母さん行くからねーー」


「はいはーーい」


その後バタンと扉が閉まる音がした。


どうやら、マリーナは出かけたらしい。


着替えを済ませたはスカーフを巻きながらカレンダーを見た。


「ゴンたちがククルーマウンテンについてから10日か・・・まだいるかな・・てか、あいつら門開けられたのかが疑問だな」


などとブツブツ言いながら部屋の中を移動して携帯を持つ。


「よし、行くか。まずは、ミルキの依頼をクリアしてからだな・・・すぐ見つかるだろ」


今度は手ぶらで部屋を出ると、は家の扉へと向かった。





「ルチア、居るか?」


は家から出たあと少し寄り道をした。


即ち、友人であるルチアの家を訪ねたのだ。


「は〜い・・・あ!!!お帰りなさい!」


言ってルチアはに飛びついた。


「おう、ただいま・・・っても、また出かけるんだけどな」


それを聞くとルチアは残念そうに眉根を寄せる。


「そうなんだ・・・どこに?」


「一ヶ所じゃねぇからな・・・」


「そっか、わかった、それじゃ仕方ないよね?」


はその微妙に含みのある言葉に?マークを浮かべながら”ごめんな”と短く謝った。


ルチアはそのショートの黒髪を揺らしながら首を横に振る。


「いってらっしゃい、


「おう、行ってくる」


ハンター試験へ出かけるときのように答えると、はその家を後にした。


途中またも黄色い声を周りから浴びせられながら。





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完全オリジナルストーリー;
サトツさんの家てどんななんだろう・・・
てか、普通に執事やってそう(オイ
ヒロインちゃんは両親の前では口調が柔らかくなります。
地震雷火事親父です(笑
あ、親父より、お袋ってかんじか(え
今回親父さんちょっと外へ薬草採取。
ご不在です。。。(↓はお袋さんの念能力について少し書いてあります、見たくない人は反転しないで下さい。
お袋さんはぶっちゃけると特質系念能力者です。
でも、普段は変化系を好んで使います。
変化系よりの特質系です。攻撃するときは念を限りなく炎に近い物質に変えて攻撃します。
まぁ、その辺はまた機会があるときにでも本編で使わせてみます(え

友人のルチアも念が密かに使えますが、ここでは詳しく載せません・・・
ではでは、長々と;





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