「第七試合、キルア対ギタラクル、開始!」







     第十三話  強さ













第二試合が終わってから、その後順調に試合は進んだ。


この第七試合レオリオ対ボドロが先に、キルア対ギタラクルになったこと以外は。


は笑いもすっかり収まり、腕を組んで対峙する二人を見ている。


ただ、キルアに対してほんのちょっとの後ろめたさを抱いていたが。


「久しぶりだね、キル」


先に話したのはギタラクル、そうイルミだ。


それにキルアは足を止める。


イルミはピンを抜き始めた。


ここでまたの笑いの波がこみ上げてくる。


また盛大に笑いそうになっている。


いや、もう堪えきれないところまできていた。


だが、今この場で笑い出すことは場違いだ。


第二試合のとき以上に。


は噴出してくる笑いと声を抑えながら会場の扉を開けた。


そして、一目散に会場から離れた場所まで通路を瞬速で駆けていった。


会場に残された何人かがそれに首をかしげたのは言うまでも無い。







会場から延びた通路の大分先にある窓際には背を預けてもたれかかっていた。


会場を抜けてから大分時間がたっているはずだ。


そして、の笑いの虫もなんとか治まっている。


暫くそうして天井を仰いでいると、左横、通路に気配を感じて振り向く。


そこには右手を赤で濡らしたキルアがこちらに歩いてきていた。


俯いていて表情は良く見えなかったが。


「キルア」


が声をかけるとキルアが身体をびくりと震わせての直ぐ近くで止まって顔を上げた。


・・・」


まるで、がそこにいたことがわからなかったかのように驚いて声を上げる。


はキルアに歩み寄ってぎゅっと抱きしめた。


・・・俺・・・・」


くぐもった声で呟くキルアには暫く何もしないでいたが、ふと少しだけ抱きしめる力を強めた。


「いいか?キルア。お前がイルミになんて言われたかわたしは知らねぇが、これだけは覚えておけ。
 どんな場面で自分の弱さを知っても、また強さを知ってもそれは本当の強さでもないし弱さでもないんだ。
 今、ここに存在することそれが本当の強さだ。お前がどんなに弱いと感じても、ここに在ればそれは強さなんだ、キルア。何処に居ても、この世にあれば」


優しくも強く言うにキルアは顔を上げる。


それには微笑みかけた。


「家に帰るんだろ?」


静かにキルアは頷く。


「だったら、家で待ってろよ。お前とわたしの一番のダチ連れて迎えに行ってやるからさ。一緒にまた、な」


「・・ああ」


「良いもんだな、ダチってもんは」


「・・ああ」


言ってキルアの流した一筋の涙には気づかないふりをしてもう一度キルアを優しく抱きしめた。











あれから、はハンターについての簡単な講習を他の合格した受験生(ゴン除)と受けていた。


は扉近くの席に陣取って講習も聞かずに寝ていた・・・。


かなり爆睡で物凄い勢いで部屋に入ってきたゴンにも全然気づくことなく、いつの間にか講習も終わっていた。


ヒソカに起こされなければそこで一昼夜過ごすところだ。


ヒソカは今回は何もせずに部屋を後にしていった。


直ぐ近くでゴンがイルミを引き止めているのが目に入る。


そうしてイルミが一通りゴン、クラピカ、レオリオの三人に何か言い終わるとに向き直った。


「そういえばさ、、キルに変なこと吹き込まないでくれる?」


ゴンたち三人はがイルミと知り合いであることに驚く。


はとりあえずそれを無視して話を進める。


「なぜ?」


「困るんだよね、キルがこれ以上、暗殺者として弱くなるのは」


「それは無理な相談だな。第一わたしがそんなこと言われる謂れがねぇな」


「・・・・」


イルミが無言で殺気を飛ばすがもそれに殺気を飛ばし返す。


ゴンたちはあまりの場の凍てつく空気に血の気を引かせた。


「仕事以外で敵作る気は無いから・・・あ、そうだ、ミルからメールで電話してくれってさ」


「そう・・・自分で電話しろよなあいつ・・・ったく、こんなこと許すのはお前らぐらいだぜ、本当に」


「じゃ」


「はいはい、さよなら」


言って何処か疲れながらは手を振った。


それを見ていたゴンたちだったが、不意にレオリオが声をかけた。


三人の表情からはどこか憤りを感じられる。


、お前、あいつと知り合いなのか!?」


「ん?ああ、仕事の関係上な」


言って三人に向き直るとその顔には”何の仕事か”と書いてある。


は溜息をついて腰に手を当てた。


「あまりお前らには教えたくなかったが、いつかバレるだろうから、ま、いいか。後でキルアにも言うが、よろず屋って言ってわかるか?」


それにクラピカとレオリオは驚く。


「よろず屋だと!?」


「え?え?何?よろず屋って」


ゴンがクラピカとレオリオを交互に見る。


それにクラピカが答えた。


「よろず屋はあらゆることを報酬を貰うことで実行する謂わば、なんでも屋のことだ。
 ありとあらゆる情報収集から物品収集、金貸し、慈善活動、場合によっては暗殺などの殺しも引き受ける。
 ただし、その報酬額は馬鹿にならないほどの金額の場合が多い」


「え!?、人殺しするの!?」


「仕事の内容によってはな。猫探しもたまにするぞ」


そう言うを三人はただ見つめる。


レオリオの剣幕は険しかったが。


「ゾルディックとは母さんの代からの付き合いでな。今は情報収集の面で依頼を受けるが、母さんの代ではほとんど仕事場で鉢合わせる商売敵同士だったらしい」


暫く沈黙が流れる。


そうしてその沈黙を破ったのはレオリオだった。


「・・・悪いが、。お前とは故郷に帰れねぇ。人殺しをするという事実を何のためらいも無く言うお前を、ピエトロの下には連れて行けねぇ」


「・・・・・そ」


短くそう答えては肩を少しすくめた。


目を閉じてあけた次の瞬間少し俯き気味のの目に一瞬だけ寂しさの色が宿ったのはゴン以外誰も気づくことは無かった。


「とりあえず、これな。連絡先書いてあるから、用があったらくれよ。ちょっとわたし、この後仕事の他に私事が入ってるから後から追うわ」


ゴンはの渡した名刺を受け取りながら声を上げる。


ゴンとクラピカはもうの仕事について気にする様子は無かった。


「え、もキルアのところ行ってくれるの!?」


「ああ、ダチのところに行くのは当たり前だろ?」


「うん、じゃ、先に行ってるね!」


「ああ」


会話するゴンとをクラピカとレオリオはただ見る。


レオリオはどこか食えないといった感じで見ていたが。


はじゃ、と言い残してその場を後にした。


残されたゴンは後姿が見えなくなった後クラピカとレオリオを振り向いた。


「ね、クラピカ、レオリオ、この名刺にさ””って書いてあるんだけど、これ、何かな?」


「「!」」


「どこだ!?」


驚いた二人のうち、レオリオが見せるようにゴンを促す。


「ここ」


クラピカもレオリオに倣ってゴンの見せる名刺を見る。


そこには確かにと書いてあった。


「で、って何?」


それにクラピカがまた答える。


というのは裏の世界ではかなり名の通ったよろず屋のことだ。依頼をすれば迅速且つ正確な結果を提供してくれる。
 ただし、報酬額は億からしか受けないし、理に適わない仕事は請けることが無いらしい。よろず屋といっても理に適ったものしかよろずに引き受けることは無い、ということだな」


「じゃあ、やっぱりはいい人なんだ!ね!レオリオ?」


そう言ってレオリオに笑顔を向けるゴンにレオリオは何処かばつが悪そうに相槌を打った。


「ああ」






「ヒソカ」


ゴンたちの下から去ったは通路にいたヒソカに声をかけた。


「やぁ、


今までイルミと話をしていたのかこちらに振り向くヒソカ。


「いつ殺り合う?」


「う〜ん、まだ決めてないんだよね◆それが


「そう、んじゃ、とりあえず連絡先渡しておくから決まったら連絡くれよ。場所ともにそっちが決めて良いから」


「うんそうするよ


名刺を受け取ったヒソカはそれに一瞥すると手を反してどこかへ名刺を仕舞った。


二人の会話を見ていたイルミが口を開く。


ってさ、殺しの仕事じゃ内容選ぶくせして私事では無差別なんだね」


がイルミのほうを向く。


「そんなことないぞ、それなりに選んでるさ。強い奴とじゃないと面白くねぇし」


「ヒソカに似てるね」


「こんな変態と一緒にするな!!」


はヒソカを指差してイルミに食って掛かる。


「酷いな、変態だなんて◆」


「そうだろうがよ!」


も変態じゃん」


「だまらっしゃい!」


イルミの突っ込みにも思いっきり突っ込み返す。


それにヒソカが怪しい笑みを浮かべていたのでは顔を引きつらせながら少し離れた。


「はぁ、ともあれ、わたしはとりあえずこの後、用事が入っているからこれで失礼するよ」


「うん


も俺ん家に行くの?」


「どっちにしてもミルキの奴に仕事依頼されたから行くぞ」


「そう・・・門、壊さないでね」


イルミのその言葉には固まる。


「・・・・気をつける・・・・・・」


言ってはその場を後にした。






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示しの付かない話ですなぁ
早く天空闘技場編とか書きたいですな。
では。




閉じてください


































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