休息のひととき


これから先、怒涛のように過ぎていく


波乱のようなその時間の







         休息








「部屋は空いているかしら」


そう言って当たり前のようにライセンスを提示する。


それを確認し、フロント嬢は笑顔を浮かべて受け答えた。


「はい、空いております。一般とスウィートとどちらに致しますか?」


「スウィートで」


「畏まりました。今ご案内の者をお付けいたします」


ヨークシンほどではないが、それなりに大きな都市の大きな有名ホテル。


一ヶ月ぐらいは居ても構わないかと、そんなことを頭に過ぎらせつつ、は今来た案内役の青年について行った。












やはり、シャワーを浴びるというのは好い。


疲れも何もかもが流れていく気すらしてしまう。


久しぶりの、本当に久しぶりのシャワーを浴びて一通り満足すると、は近くに置いておいたバスタオルを巻いてシャワールームを後にした。


部屋を歩み、窓の少し遠くから外を眺める。


48階のこの部屋からは窓外の景色がよく見える。


日が傾きかけてはいるものの、まだまだ外は明るい。


とりあえず、着替えてしまおう。


何処からか出した大きなトランクを開け、白のシャツと黒のスーツパンツを取り出した。











   ピンポーン



着替えたのと同時ぐらい、部屋のベルが客人が来たことを知らせた。


だが、まだ動こうとはしない。


   ・・・コンコン・・・・・コン


ベルの後、きっかり三秒後にノック二回、それから五秒後にノック一回。


誰が来たのかをそこで知るとは扉に歩み寄って、そして開けた。


しかし、数センチ開けたところで自分の力とは無関係に向うから扉が押される。


それに気づき、は数歩後ろに退いた。


そこから姿を現したのは案の定、髪を下ろしたスーツ姿のクロロで・・・


そんなクロロを見ては眉根を少しばかり寄せて口を開く。


「まだ、約束の時間よりも一時間もあるわ」


そう、約束をしていたのは18時。


今はまだ17時を回ったところだ。


そんなに特に悪びれた風もなくクロロは言う。


「別に構わないだろう。今日だということに変わりはないし、予定は未定とも言うしな。
 もっと早くに会う予定でいた俺にとって、一時間でも早くに会いたいと思うのは当然だと思うのだが」


「・・・・・・」


それにしかめっ面をする


溜息を一つつき、短く


「そう」


とだけ答えると踵を返して部屋の奥へと歩を進めた。


「つれないな」


そんなクロロの一言にも、いつもの如く気にする風もない。


クロロが後ろを着いてくるのを確認しながら、そちらを向かずは口を開いた。


「その、手に持っているものは何なの?」


「ああ、これか?にプレゼントだ、服だよ」


言いながら、クロロは手に持っていた袋を掲げてみせる。


「服?それに着替えて出掛けろというの?」


「ご名答。折角、久しぶりに二人きりになるんだ。これぐらい良いだろう?」


笑顔で言うクロロ。


はそれに特にこれと言った反応も見せない。


「・・・・・・別に構わないわ。貸して、着替えてくるから」


そう言ってクロロから袋を受け取るとシャワールームの方へと歩いていった。







が着替えている間、クロロは四人がけのソファに座って窓の外を眺めていた。


だんだんと日も伸びてきているせいか、17時過ぎだというのに大分明るい。


だが、人口の光もちらついているもの確かだった。


暫くして黒のワンピースドレスに身を包んだが姿を現す。


肩には一緒に入れてあった淡い群青のショールが掛けられていた。


「よく似合ってるよ、サイズもぴったりみたいで良かった。
 着替えも済んだことだし、行こうか」


服の入っていた袋をたたんでソファの傍らに置く


「もう?」


「ゆっくり空での遊覧でも」


そう言ってクロロはソファから立ち上がる。


そして、扉まで歩むとを促した。















「予約をしていたクロロ=ルシルフルだ」


そう言って受付嬢とクロロが話をしているのをは傍らで見ていた。


毎回思うのだが、幻影旅団の団長ともあろうものがそう何度も自分の本名で予約なんぞを取るのもどうなのだろうか。


まぁ、絶対に掴まらないという自信があるのだし、それも本当のことであるから構わないか、とその考えはそこで終わらせることにした。


間もなく、予約席に案内される。


夜景がよく見える窓際の一番良い席だ。


席に着くと、飛行船で話を聞いていた通りメニューも全て予約している為かメニュー表などは渡されることは無かった。


ワインも予約しているらしい。


確か、コート・ド・ボーヌのBEAUNE-PERRIERE 1983 LEROYだったはずだ。


「店の雰囲気もいいだろ?」


そう言って組んだ手の甲に顎を乗せクロロが言う。


「ええ、そうね。でも、出来れば貸切が良かったわ」


そう、一般人なら激しく突っ込むようなことをさらっと言うと水の入ったグラスに手を伸ばした。


「考えとく、の評価が良かったら」


しかし、そこはまた一般人レベルなどではない幻影旅団の団長さんな訳で。


「ええ」


グラスをテーブルに戻し窓外に目をやった。


もう日が落ちた外はそれでも微かに明るく、その中に灯る人口の光りはそれらより明るく輝いている。


そういえば、昼間ゴンはキルアの所へ行くといっていた。


あそこからパドキアまでは恐らく飛行船で3日というところ。


今頃は飛行船で移動中だろう。


きっとゴンのことだから、レオリオ辺りを連れまわして飛行船探検などしているのだろう、そう思ったところでは、はたと気づく。


「(一体私は何を考えて・・・なぜ)」


再びグラスに手を伸ばし水を一口、咽喉に流し込む。


クロロはただそれをじっと見ていた。











メインディッシュも出終え、後はデザートというところで、クロロが口を開いた。


「どう?悪くないだろ?」


ナイフを置きワインを口に運ぶとグラスを置いてからそれに答える。


「ええ、悪くないわ。それに、クロロの選んだこのワインも、このさっぱりした料理にはよく合ってる。
 今度は魚ではなく肉料理を試してみたいわね」


言って最後の一口を口に運んだ。


外はすっかり暗くなり、見事なまでの夜景が眼下に広がる。


「そういえばさ、今後の予定を聞きたいんだけど、次はいつ機会がある?」


顔をあげクロロのほうを向く。


「そうね、既にヒソカとイルミの先約が入っているわ」


そう言うと、クロロは頭をかいた。


「じゃあ、二人に会ったらまた会ってよ、それまでに新しい所探しとくからさ。
 その時は今日みたいじゃなくて、丸一日ぐらい欲しいな」


「覚えていたらね」


らしい返答をして窓外に視線をかえる。


「酷いなぁ」


そうクロロが呟いたのと同時ぐらいか、本日の締めくくりデザート、サバイオーネが運ばれてきた。


そうして、がホテルに着いたのはその日の終わり頃だった。










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というわけで、久々更新・・・そして微妙な終わり方
最近、三国志]に再熱したので
意識がそちらに向いてしまってどうもよろしくありません(全く
そして、実家に居ないとコース料理なんぞ食いに行く機会無いので
いろいろ書いていてどうだったかなぁ、等と思ってしまいました。
あ、ワインはそのまま銘柄とか使ってしまいましたが、もし機会あれば
さっぱり系の料理にあわせてお飲みになることをお勧めしますよ♪
・・・私の味覚とあえばの話ですが・・・・・・
んでは、次回更新をまた末永くお待ちいただければ幸いです(嫌です
読んで下さり有難う御座いました。



閉じてください































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