コトン

軽い音がしてカードが落ちる。

赤い四角のポストの前に立つ娘はその長いオリーブグリーンの髪を手で梳きながらじっとそれを見つめた。

「(あとは来月まで情報収集)」

そう何かを決心してその場を後にした。





     プロローグ





「チェックアウトお願いします」

「チェックアウトですね、畏まりました」

無駄に広いホテルのロビーにあるカウンターで会計をする娘。

支払金額が示されるまでの間に腰まであるオリーブグリーンの髪を簡単に束ねる。

「宿泊代金並びに、ルームサービス料金まで合わせまして、締めて503万Jになります」

そう言いながら領収書を示す。

「カードでお願い」

娘は言うと、クレジットカードを出して受付に渡す。

受付の男はそれを受け取って手続きを進める。

「カードの方お返しいたします」

受付はカードを娘に戻し、最終確認書にペンを走らす。

そして、それを娘に渡した。

娘はその紙を、持っていたジュラルミンケースに仕舞うとホテル出口へと踵を返す。

「本日のご利用有難う御座いました、またのご利用お待ちいたしております」

そう言う受付の言葉を背中で聞きながら。





ホテルを出ると娘は取り合えず町のはずれへ向かって歩き出す。

そんなときふと携帯が鳴った。

着信表示を見るとそこには”クロロ”

通話ボタンを押して電話に出る。

「はい、こちら始末屋。本日は仕事の依頼を承っていません。
 またの御利用をお願いします」

・・・ピッ

それだけ言うと有無を言わさず通話ボタンを切る。

それからまた直ぐに着信音。

もう一度出る。

『酷いな、いきなり切るなよ、

そう電話越しに聞こえるクロロの声。

は眉根を寄せて答える。

もちろん足は止めずに目的の場所へ行く。

「だから、仕事の依頼は今は受け付けてないって」

『いや、今回は別に依頼じゃない』

それにまた一層眉根を寄せて言う。

「だったらちゃんとメールに入れてから電話して頂戴。いつもそう言ってるじゃない」

『いや、悪かった、面倒臭くて<ピッ>

全て聞く前に通話ボタンを切る。

するとまた数秒空けずに着信音。

『すまん、俺がマジで悪かった、今度からはメールしてから掛ける』

「ならば、よし」

それに納得したのか、は頷く、クロロには見えないが。

「で、何の用?」

は取りあえずの用件を聞く。

先ほどから大分歩いたのか、周りは殺伐としていた。

スラム街に入ったようだ。

しかし、にはそんなことが気にならないのか、場違いな雰囲気をかもし出しながら先を行く。

『あぁ、今日の夜よければ、一緒に食事でもしないか』

聞いて、は表情を変えずに返答する、ついでに言えば棒読みだ。

「あぁ、ごめん、今日は無理。・・・というか、当分の間無理」

それに即行で帰ってくる質問。

『何で?』

「いや、何で?とか言われても、こちらにも事情があるんですが」

『だから、何で?』

先ほどよりどこか語尾が強めにされて返ってくる。

それにため息をつきながらはとりあえず、必要最低限だけ答える。

「ハンター試験受けるから」

『なんだ、まだ持ってなかったのか。
・・・そういえば、奴らも受けるとか言っていたな

最後の方はとても小さく言ったが、はそれを聞き逃さなかった。

「(奴ら・・・?ま、いいや)そう、まだ持ってなかったから、取るのよ。そういう分けだから」

しかし、特に関心が無いのか、聞き返すこともなく、そのまま話を進める。

『まぁ、それなら仕方が無いな、試験が終わったらにしよう。
 試験終了後連絡入れろよ、いいな』

ツー・・ツー・・

そう言って、クロロは電話を切ってしまった。

「(まったく持って、自分勝手な奴ね。しつっこいのか素っ気無いのかどっちかにしてもらいたいわ)」

思いながら、電話を仕舞うと、目的の場所に着いたのか立ち止まる。

そこは、スラム街をも通り越し、人など全く居ない場所だった。

荒野に近いかもしれない。

は、その場でジュラルミンケースから何か、丸い物体を一つ取り出した。

それは直径5oぐらいの小さなもので、どこかスライムを思わせる半透明のゼリーの様な物だった。

色は白で、また、それは粘着質でもあった。

そのどこかヤバ気なものを着ているYシャツの下、丁度、肩甲骨の中央辺りの肌に直接つけると、念を発動した。

「・・・・くっ・・・」

顔を顰める。

の背中では異変が起きていた。

先ほど付けたあの物体が形状を変え一気に大きな翼に変化する。

黒い大きな翼だ。

服の下なので、実際見えないが、その翼から生える根のような物がの背中の皮膚の下を走っていた。

そして、それは骨にまで巻きついている。

通常、普通の人間がこれをすると骨にまで達する激痛で死ぬらしいが、にとっては顔こそ顰めるもののその程度の事で死ぬことは無い。

「(さて、行きますか)」

翼を使って宙に浮く。

そして、そのまま勢いよく上空に達すると、ジェット気流に乗った。

「(確か、ザバンのツバシだったよね・・・あの近くに人気の無いところなんてあったかしら・・?)」

そんなことを思いながら気流に身を任せつつ、ザバン上空を目指して飛んでいった。





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ハイ。どうも、管理人の隷です。
更新遅いくせして新しいジャンルに手ぇつけてんなよって感じですが、まぁ、気にせずに(殴
とりあえず、これは原作沿い連載です。
というか、当分の間原作沿いでしか連載はしません(最悪)過去編は別として(近いうちにちょこちょこアップしていきます)
突っ込みどころ多いですけどそこは突っ込まずに;
つうことで、これからよろしくしてやってください、さん(嫌だって




もう読まない方は閉じてくださいね






































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