「久しぶりにナポリタンを選んだのは正解だったかもな!」
第二十三話 ネン?
そんなことをぼやきながら、はちょっと遅めの夕餉を済ましていた。
言わずもがなそのメニューはナポリタン。
入った店は軽食喫茶。
それでも、なかなかメニューはあって、どれにするかを悩んだくらいだ。
席の場所はといえば、窓際のガラスと向き合うカウンター席だった。
半分ほど減った皿のパスタをナイフとフォークを使って巻きながら、一口口に放り込もうとした時、丁度目の前を見知った人物が通る。
先刻別れたゴンとキルアだ。
スプーンをおき左手を振るが当たり前のように気づく気配がない。
その為、面倒とか思いながらも彼らが気づく程度の念を飛ばした。
案の定、二人は一瞬肩を強張らせるとすぐさま後ろを振り向き、通り過ぎてしまったの席の方に目をやる。
そして、改めては二人に手を振ると同時に、こちらへ来いと手招きした。
「何でがこんな所にいるんだよ?」
「見て分からんかね?キルア君。夕飯だよ夕飯。ゴンとキルアはもう済ましたのか?」
「まだだけど。ね、キルア?」
「ああ、まあな」
「じゃ、奢ってやるよ。まぁ、そこらに座んなさいな」
そう言って、は空いている席を指差す。
それに促され、ゴンはの右隣の、キルアは左隣の空いている席に座った。
「お姉さん!メニュー表2つ頂戴!!」
がそう声を張り上げると、ウェイトレスの一人が畏まりましたと、2冊のメニュー表を手にたちのもとに渡した。
「ほら、何でも好きなもん頼め」
いいながら、はまた一口パスタを口にする。
暫く二人はメニュー表とにらめっこをしていたが、先にゴンが口を開いた。
「じゃ、俺はカレーにしようかな」
「ゴンはカレーか・・・じゃあ、俺は・・・ハンバーグとクリームソーダとフルーツサンデー」
そんな二人の注文を聞きながら、は水を一口飲むとグラスを置いてまたウェイトレスを呼ぶ。
そうして、注文しながらはゴンに聞いた。
「ゴンは他に飲み物とか、デザートとかいらないのか?遠慮なんかしなくていいんだぞ」
そう言うと、ゴンは少し考えるようなそぶりをした後
「じゃあ、オレンジジュースも」
と付け加えた。
ウェイトレスは去り、席には三人が残る。
「で、念について何か分かったのか二人は」
は皿に残った最後の一口を口に入れるとそう切り出した。
それを聞いて二人は一様にの方を向く。
「それが、実はさ・・・」
そう言ってキルアが先刻までにあった話の説明をし始めた。
「・・・・って訳。何か納得いかねぇんだよな・・・・・・あんなんじゃ説明つかないっつの」
そう言って、少し前に注文した品を半ば自棄食いのように頬張りながら説明を締めくくるキルア。
ゴンは同じくカレーを頬張りながら同様キルアの説明を聞いていた。
はというと、食後に頼んでいたブレンドコーヒーをブラックで飲みつつ聞いている。
そして、暫くカップをじっと見つめていたが徐に受け皿へカップを置くと、同時にポツリと呟いた。
「”燃”ね・・・」
「そういえばさ・・・」
言ってゴンがオレンジジュースの入ったストローから口を離すと再び話を進めるべく口を開いた。
「は誰に燃を教わったの?」
ゴンの方に顔を向ける。
「ん?ネンか?母親だな」
「え?のお母さんて燃が使えるの?」
「そりゃそうだろ、だっては母親の仕事を継いだんだろ?だったら普通に考えられねぇか?
ゴンもそのことはから直接聞いているんだろ?」
「あ、そうだった」
そう言ってゴンは頭を掻く。
キルアはというと、いつの間にやらハンバーグを食べ終わり、ソーダ水に浮かんでいるアイスの残りを食べていた。
そこでが口を開く。
「まぁ、念はそのウイングさんとかって人に師事すればいいんじゃないか?
話を聞く限り真面目そうみたいだしな、まぁ直接会った訳じゃねぇから何とも言えねぇが」
それにキルアが猛反発。
「はぁ!?知ってるんだからが教えてくれればいいじゃねぇかよ、面倒臭ぇよ、いちいち師事するなんてさ」
「私も面倒臭ぇよ、いちいち教えるなんざ」
「「・・・・・・」」
それにはゴンもキルア同様呆れてみせる。
その空気を破るように丁度キルアの頼んだフルーツサンデーが席に運ばれた。
ウェイトレスがレシートを置いてその場を去る。
「ま、私から何か教える気はさらさらないから、そのウイングさんとやらの所に通うんだな」
そう言ってコーヒーを口にした。
だが、キルアは収まる所を知らず・・・
口走ってしまったのだ、
「っんだよ、ケチ!教えてくれてもいいじゃねえかよ、この怪力バカ女!!」
・・・と。
それがいけなかった。
カップを手にしたの手が震えている。
そして、心なしか、見えるはずのない何か黒いものがの後ろに見える気がした。
キルアがその時、しまったと思っても、もう後の祭である。
の後ろに見えるゴンの顔も引きつっていた。
「ほお〜ぅ、言ってくれるじゃないか、キルア君」
そう言ってカップを置くとキルアの顎を左手で掴んで顔をやや仰向かせ、目を合わせる。
「ん?そんなこと言うのはこの口かなぁ?え?」
そして、その左手でキルアの両の頬を押しつぶすように掴んだ。
無論、あの怪力で。
「い、い、い、いひぇ、いひぇえっへ、はやへほ!(い、い、い、いてぇ、いてぇって、離せよ!」
キルアはの左腕を掴んで回避を試みるが、ビクともしない。
心中、こいつやっぱり、女じゃねぇ、とかいろいろ思っていたりした。
だが、やはり痛い。
の後ろでそれを見ていたゴンは心なしか、キルアの頬骨がミシミシ言っているように聞こえた。
「ああぁん?何だって?立場がよく解っていない様だねぇ、キルア君。
でも、まぁ特別に選択権を与えようか。このまま蹴られるのと殴られるのどっちがいいかなぁ?」
そう言って右手を拳にしてキルアの目線まであげてみせる。
その見えた拳には感じてはいけない何かを感じた。
「(選べねぇ・・・・!)」
キルアはそう思いつつ顔をこわばらせる。
そんなキルアを知ってか知らずか、は言葉を続ける。
「ああ、それよりもお兄さんのもとの方がいいかなぁ?イルミのもとにこのまま送ろうか?いや、呼ぼうかな?
ん?それが良い?そうか、そうかそんなにお兄さんが好きか、微笑ましいなぁ」
そう言うは笑顔だったがあからさまに目は笑っていない。
しかも、本当に実行しそうでキルアは激しく首を横に振った(顔を固定されてるから見た目には振れていないが
「はひはへん!ほう、ひはへんはら、ははひへふははい!!(すみません!もう、しませんから、許してください!!」
流石に身の危険を感じ、いつもは使わない敬語でに謝るキルア。
それを見て何となく泣けてくるゴン。
は暫くじーっとキルアを見ていたが、パッと手を離すと無言のまま再びコーヒーを口にした。
「ゴンも見てねぇで助けろよなー、マジで死ぬかと思った」
「あはは・・・」
ゴンはもう乾いた笑いするしかなかった。
先ほどから暫く経って、もう既にキルアはデザートを食べ終わり、はお替り自由のコーヒーの2杯目を貰って飲んでいた。
ゴンがもうそろそろ飲み終わるオレンジジュースをズズーッと吸いながらに向かって口を開いた。
「そういえば、は暫くここに居るの?」
それには考えるようにして答える。
「いや、何も考えてねぇ。そもそもここに来たのは仕事でだったからな。
知り合い・・・あ、さっきの電話の相手な、に仕事の依頼されちまったが特に急がないらしいから当分保留にしとくが・・・」
その時何となくゴンの視線に気がついてゴンを振り向いた。
「ん?あぁ、仕事依頼はただの本探しだよ。急がないなら自分で探せって感じだがな、全く」
心底かったるいというような表情と溜息を混ぜてそう言うとゴンは安堵したような表情を見せた。
やはり、割り切ってはいるものの知り合いが殺しをするというのは心苦しいのだろうなと、は勝手に解釈する。
その解釈は間違ってはいなかったが。
「じゃあさ、暫く俺たちとここにいようよ、ね!俺、に一緒にいてもらいたいんだ!
キルアもそう思うでしょ?」
そう言って身を乗り出しての向こう側に座っているキルアに見えるように顔を覗かした。
「ああ、そうだな。本当のネンを教えてくれねぇってのは置いとくにしても、やっぱりがいてくれると楽しいしな」
それには考えていたようだったが、暫くして口を開いた。
「まぁ、構わねぇよ。今の所、特別やらなければいけない事ってのはねぇし」
「「(知り合いの人(っての)が不憫だ(な)・・・)」」
そんなことをゴンとキルアは心の中で思いつつ同時にを見遣るのだった。
その後、彼らが支給された部屋に戻ったのは21時を過ぎてからのこと・・・
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無駄に長くなりました、そして久々更新です。
書いてて途中自分もナポリタン食いたくなって作って食べました。
そんなことはよくあることですが、一向に進んでる気がしないのは
きっと気のせいではないでしょう(お前のせいだよ
次の話で200階いけたら・・・いいなぁ(殴
閉じてください
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