此度の天気、台風接近のため雨

所により、風速30メートルを超す暴風が発生するでしょう

増水した河川や海には近づかないようにご注意下さい





   台風 〜一難あってまた一難〜







「危なぁぁああーーーーい!!」


吹き荒れる暴風雨の中、家路を急いでいた周瑜の耳に微かに聞こえたそれは、紛れもなくこの孫呉の女武将・のものだった。


不審に思い、近くを流れる増水した長江支流に目をやる。


いつもの何十倍もの速さで流れ、波さえ立てているその川を下流から上流に沿って視線を沿わせた。


そうして、上流に向けて身体をひねらせた瞬間、増水し濁流となっていた川の波が高く上がり、それと同時に何かが頭上を掠めていく。



  ずざっ



そう音を立てて、周瑜の丁度背後に何かが着地をしたのであろう音と共に、またの声。


「10.0」


とりあえず、ずっこける周瑜。


ポーズをとっていたは後ろを振り向き、周瑜を確認する。


「あ、周瑜様。何してらっしゃるんですか?こんな荒れた天気の日に。風邪ひきますよ」


そう言って髪から水を滴らせながら周瑜を見上げる。


「君こそ何をしている!というか、今何をしていた!!取り敢えず来なさい、詳しい話は後で聞こう」


もっともなことを突っ込みつつ、しかし後の方は半ば強引に話を進め、取り敢えず、周瑜はの手を引いて再び家路に着いた。







家に入り、周瑜はを玄関口に待たせ、暫くしてまた戻ってくると開口一番、こう言った。


「侍女に話を付けておいたから、まず湯に浸かってきなさい」


「いいんですか?」


そう言って小首を傾げるに多少顔を赤らめつつ周瑜は答える。


「風邪をひかれては敵わないからな。その後、先ほどのことについて話を聞こう」


「はぁ・・・・・・?」


よくわからないといった風には頷いてみせた。


そうして、程なく侍女に浴室へ連れて行かれる。


その場に必然的に残った周瑜は


「(全くあの娘は・・・)」


などと思いながら、着替えるため、自身の部屋へ向かうのだった。









侍女に用意された服を着て今、は客間の椅子に湯飲みを持ちながら腰掛けている。


その向かいには着替え終わった周瑜が同じく椅子に腰をかけ今、湯飲みを机に置いた。


部屋の外から暴風により吹き付ける風の音と、雨が強く地に落ちる音がひっきりなしに聞こえてくる。


徐に周瑜が足を組み、近くの机に肘をついてその腕で頭を支えた。


「で、君はあの濁流と化した川で何をやっていたんだ?


問われたは湯飲みを手にしたまま一言こういった。


「波乗りです」


その言葉に思わず体勢を崩す周瑜。


そうして、頭を抱え顔を顰める。


「なぜそのようなことを・・・」


それには嬉々としてこう言う。


「えっとですね、昨日、孫策様が”あの速さで船に乗るのは面白いずぇ〜”って言ってらしたので」


湯飲みをそばの机に置きつつ、にっこり笑う


  ずるっ


またもずっこけながら周瑜は語尾も弱々、もう一度半ば突っ込みつつ問う。


「それでなぜ波乗りなのだ」


「それはですね、”船じゃなくて木板で波乗りをしたらもっと面白かっただろうな、明日、もやってみろ”とお誘いいただいたんです」


両手を胸の前で”ぱんっ”と合わせて言ったその言葉に周瑜は激しく机に頭をぶつけた。



 ”貴様もそんなことをしていたのか!?しかも、そんなものをに勧めるとは・・・!”



そんな思いを込めつつ頭をぶつけた(どんなですか)周瑜にが声をかける。


「大丈夫ですか?周瑜様」


「だ、大事無い」


「本当ですか?・・・ならいいです」


そう言ってにっこり笑いかけるに周瑜は顔を赤らめ、目線を横に反らした。


そのことには気づかなかったようで、閉じた口を再び開ける。


「周瑜様、お話済んだのなら、わたし、そろそろお暇させていただきますね」


の言った言葉に我に返った周瑜はに視線を戻す。


未だ、風の吹きすさむ音も、雨の打ちつける音も激しく聞こえる。


「何か入用でもあるのか?」


「いいえ、何も」


「ならば今日はここに泊まってゆきなさい」


それには目を見開く。


「え、でも、ご迷惑がかかりますし・・・」


「良い、気にするな」


「ですが・・・」


そう言っては俯いたが、周瑜が立ち上がる気配を感じて顔を上げた。


「私は・・・君がこの嵐で怪我をしたり、風邪をひいたりするのではと思っているんだ」


それには無言のままわからないといった風に眉根を寄せた。


その意を悟った周瑜は一つ息を吐いて言う。


「そちらの方が私にとっては迷惑だといっているのだよ」


言って周瑜は優しく微笑む。


はそんな周瑜をすまなそうに見つめた。


そのの下に周瑜は歩み寄り、その目前で立ち止まる。


そして、の頭を優しく撫でた。


「迷惑というよりも、心配しているんだ、私は。の身に何かあったらと」


そうしてを優しく抱きしめる。


それに驚いて見せる


は顔をあげ周瑜を見やる。


「周瑜様・・・」


そう、呟き、続けた言葉は、


「寒いんですか?」



 ドサッ・・・!



の横を滑り、そして、そのまま倒れこむ周瑜。


はそれをただ周瑜の横で見下ろす。


「大丈夫ですか?周瑜様」


「あ、あぁ・・・大丈夫だ・・・」


そういいながらぶつけたらしい鼻をさすって立ち上がる。


心なしか涙目だ。


「私は侍女に用があるから場を外すが、は別の者に部屋の手配をさせるからそれに従って部屋でくつろいでいなさい」


「はい」


元気よく返事するに密かに涙する周瑜がいたとか、いなかったとか。









翌日は台風一過、眩しいぐらいの晴天で雲ひとつ無い青天井が広がっていた。


周瑜の屋敷に泊まっていたはその周瑜と共に城へと出仕する。


宮城内を歩いていると途中の通路で孫策に会った。


「伯符!貴様、に何と言うことを勧めるんだ!君はの性格を知っているだろう!!大体、君は・・・」


周瑜はこれ見よがしと、孫策に詰め寄る。


その矛先となっている孫策は指で耳に栓をしていた。


はというと、何となくただそれを見守って(?)いる。


だが、不意にが口を開く。


「そういえば、孫策様、川が丁度いいぐらいに氾濫していましたから、まだまだ波乗りを楽しめそうです!一緒に行きませんか?
 昨日はとっても楽しかったですし!」


そう言って胸の前で手をぱん、と合わせた。


それに周瑜は呆然、孫策は喜ばしげに笑う。


「おう、いいな!がいればもっと面白れぇぜ!!」


そして、よし行くか!などといいながら、それにが答えて意気揚々と元来た通路をスキップさながら駆けていった。


それから一拍おいて周瑜が後を追う。


この後も周瑜は色々と苦労が耐えなかったとか・・・


彼の想いがに届くのがいつになるのかは、誰も知らない。




終わり(えぇ!?



と、そんなわけで、長らくお待たせしてしまってすみません;
千尋さんへ差し上げます。
微妙(?)にギャグで周瑜夢(といえるのか)です。
満足していただけるかとっても不安ですが貰ってください。
返品可能です。
・・・では、有難う御座いました!


2005.07.22 隷


























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