「荊州城・・・ここか」
言って、栗毛の馬を引いて門をくぐる旅人。
門番に一礼をして先へ進む。


ガッシャーン

前方でけたましい音。
そしてその後に聞こえる罵声。
そこに駆けつけてみると案の定、野次馬の中心で、いかにも暴者というかんじの、自分と同じ旅人が
ここの住人であろう男を殴り飛ばしていた。
「おい!おっさんよぉ、人にぶつかっておいて無視はねぇんじゃねぇのか!?」
殴り飛ばされた男は、もう恐ろしさのあまり声すら出せずに固まっていた。
そこに暴者はけりを入れた。
地面に転がる男。
周りは近くにあった店のものなどが散らばって酷い有様だった。
その男に暴者が近づいていく。

「待て!」

先ほどの旅人が二人の間に割って入った。
「ぶつかった、たかがそれだけで殴り飛ばすことはないんじゃないのか」
「ぁんだとぉ!?てめぇもボコされてぇのか!?」
旅人に罵声を浴びせる暴者。
「出来るものならやってみろ」
それに答える旅人。
そして、次の瞬間、暴者が勢いよく殴りかかってきた。
しかし、旅人はそれを簡単にかわすと、殴りに出た腕を掴みあげ、
その倍ぐらいもある体躯の暴者を背負い投げた。
いわゆる、柔道の一本背負いのような形だ。
虚をつかれて投げ飛ばされた暴者はそのまま地面の上で気絶してしまっていた。
丁度その時、後ろの方で
「通報があってきたのだが、問題の男は・・・?」
という若い青年と思われる声がした。
振り向くと、青い鎧を身にまとった、整った顔立ちの青年が目に入った。
「ここの警吏か何かの人か?」
旅人はそう聞くと向き直った。
「そうだが・・・」
先ほどの光景を一部始終目撃していたらしく、少々間の抜けた答えが返ってきた。
「問題の男というのはこいつのことだろう」
そう旅人は言うとさっさとその場を立ち去った。
後ろの方で詫びと軽い礼の言葉が聞こえた。


荊州城の門前、やはりそこにも門番が二人いた。
「すまないが・・・ここに諸葛孔明殿はおられるか?」
右側にいた門番に聞いた。
「いらっしゃいますよ」
人の良さそうな門番だった。
番人という言葉が似つかわしくないくらいだ。
「何かご用件でも?」
今度は向こうからの質問。
それに答える旅人。
「少し話がしたいのだが・・・が会いに来たと伝えてもらえばわかると思うが、お会いできるかな?」
その答えと問いに少し考えたのち反対側にいる門番にコンタクトを取り、
”少々お待ちください”とだけ残して城中に入った。

今は稲刈りの時期で青空がとても綺麗だ。
昼時ということもあってすごく長閑だった。
鳥の囀りを聞きながら青空を見つめていた。
そんな時間がどれくらい過ぎたのかは知らないが、
ふと正面を見ると丁度先ほどの門番が戻ってきたところだった。

「許可が下りましたのでどうぞお入りください」
そう言ってもとの場所に門番は戻った。
代りに下女が道案内をしてくれるらしく、一礼をして進み始めた。

長安、洛陽といった城ほどではないが、やはり小さくても城。
中は意外と広く、長い廊下が続き行く先々狭くはない部屋が並んでいた。
大分歩いた後、ある部屋の前で下女が止まった。
そこは裏庭寄りに作られている部屋で池が見えた。
「お客様をお連れ致しました」
「中へ」
軽いやり取りの後、下女が中へ入るようを促した。
軽い音を立てて開く扉を潜り抜け、中へ入る。
入るとそこには目的の人物と他にもう一人いた。
「あ、あなたは先刻の警吏の方」
とは、
言われてその青年ははっとした表情を見せた。
「お二人はどこかでお会いしたのですか?」
そう口を開いたのは諸葛亮だった。
「ええ、先ほど話していた少年とはこの方です」
そう、警吏の青年が言うや否や、諸葛亮は口元を羽扇で隠して笑い始めた。
それはもう盛大に。
「な、何がおかしいんですか」
少々躊躇いつつ聞く警吏の青年。
「あはははははは・・こ、これは失礼致しました、ふふ・・・しかし、趙将軍、
は男ではなく女ですよ」
それを聞いた青年はぎょっとした。
何せ、ずっと男だと思っていたのが実は女で、しかもその本人の前で”少年”と言ってしまったのだから。
「え、あ、あの亮軍師とこの方はお知りあいで・・・?」
女であったということともう一つ、軍師である諸葛亮がと知り合い出会ったということに驚き、
話をそらす意味も含めて問うた。
「ええ、この娘の名は、字をといいます。
私の妹のような存在ですが、何分男の真似事が好きでこの有様なんですよ」
その説明に別段気にした様子はなく、は一歩前に出て言った。
「ご説明の通り、と申します。差し支えなければ以後お見知りおきください」
そう言ったのを確認した後、諸葛亮は一呼吸置いてから口を開いた。
、こちらは趙雲子龍将軍です。軍内でも秀でた武をお持ちの方です」
「そんなことはないですよ」
ちょっと恥らいながら趙雲はそれを否定した。
互いの説明が終わった後諸葛亮は”それで?”と言っての方へ体を向けた。
「何の用件でわざわざここへ・・・?」
「ええ、手紙を・・・子魚からお預かりいたして参りました」
そう言って、懐から書簡を取り出した。
子魚と言うのは、諸葛亮の弟の諸葛均の字で、諸葛亮の脱庵後の草庵を継いでいた。
「子魚から・・・?わかりました、ありがとうございます」
「礼をいわれるほどのことでもないと思いますけど・・」
”それもそうですね”と微笑みながら諸葛亮は言うと、思い出したように”そうだ”と付け加えた。
、あなた仕官する気はありませんか?」
「どこにです」
「ここ、劉備殿の下にです」
突然のやり取りに趙雲はただ聞いているだけだった。
は少し間を置いて顔を俯かせながら考えた後、徐に顔を上げた。
「私は女ですが・・・何の役に立つとお思いで?」
それを聞くと諸葛亮は笑みを浮かべながら部屋の窓辺に歩み寄って言った。
「あなたには武があります。それが例え趙将軍ほどの武を持った者にかなわないとしても、
知謀を持っています。まさか、それをただ遊びのために身に付けたのではないでしょう、
強い調子ではなく、優しく問い掛けるような口調で諸葛亮は言って振り向いた。
はそれを聞くと諸葛亮の元へ歩み寄り、窓から外を見やった。
池の鯉が水音を立ててはねる。
そして、諸葛亮の目と交わすとこう言った。
「・・・・仕官いたします」
「そうですか、それは良かった、それでは早速劉備殿の元へ参りましょう」
その後の行動は早く、もびっくりするほどの速さで部屋を後にしていった。
一人部屋に残された趙雲はいきなりの展開と結果に唖然としていた。
(妙なことになったな・・・)
そんなことだけ思って二人(いや、一人か?)に遅れながらも部屋を後にした。



続く(んかい!)→



はい、やっと終わりました。そしてここまで読んでくださって有難う
御座います。無駄に長いし、しかも続くし。話も微妙だし。さん
すみません(滝汗)しかも、趙ドリのくせして存在薄いし、趙雲・・
これじゃ、半孔明ドリですね・・・・(爆)あ〜ほんとうすみません
次はもっとマシな話書けるように努力します。

閉じてください
















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