六月に入った

それは雨期のはじまり

長雨のはじまり








「は〜ぁ、最悪」

天を見上げ溜息。

そして最悪、の言葉。

季節は六月。

大陸の南部に位置する呉では、この時期は雨期に当たる。

もう少しすれば台風なんかも来る。

溜息をついた少女、は呉の首都建業の城の上部にある見晴台の椅子に腰を掛け、

足を投げ出して退屈そうにしていた。

実際退屈なんだけれども…

「何が最悪なんだ?」

と、ふいに背後の階下から声がした。

そして登場したのはこの呉の君主の息子にして長子に当たる孫策だった。

の横の開いている椅子に腰を掛けて顔を覗き込む。

「何って、この雨!これじゃ外にも行けないじゃない。
 内ではすることないし、退屈でしょ?」

突っ込みを入れたくなるほどのため口。

この呉でも名だたる女武将とはいえ、仮にも己の君主の長子に当たる孫策にため口を使うとは…

しかし、こんなことは日常茶飯事。

孫策は別段気にする様子もなく会話を続けた。

「いいや、俺は別に退屈じゃないぜ。お前を茶化せるしよ(笑」

言って孫策はの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。

整っていた髪がもう乱れている。

「ちょ、阿呆!やめなさいよね!!」

思いっきり拳で孫策を殴る。

右ストレート炸裂。

思わず椅子から転げ落ちる孫策。

その場で頬をさする。

「痛ってぇぇ―本気で殴る奴があるかよ」

「自業自得」

まるで漫才のようなことを繰り広げる二人。

孫策は立ち上がるとふいに、の紙の結い紐を解いた。

割と高い位置に結い上げられていた髪が肩に落ちる。

腰ほどはない髪は六月の湿気を含んでか心なし湿っている感じがした。

「あんた、また!」

言って拳をまたつきつける。

それを受け止めて孫策は言った。

「まぁ、待てよ。俺が退屈じゃない理由…」

「わたしを茶化すんでしょ」

孫策が皆まで言わないうちに答える

「って、人の話は最後まで聞けよな!」

談話程度で言う。

ちょっとしかめっ面をして指で髪を弄びながらそれを聞く

「で、退屈じゃない理由はだな、雨の日だったらお前と話す時間も多くなるし
 会う回数も出来るだろ?それにだ、今みたいに見れないもんも見れる」

言って、の方を向いて椅子に跨った。

気持ち前かがみで。

「それって、何…プロポーズ?」

今だ髪を弄びながら聞く。

「ああ」

「そぉ」

あっけない会話。

雨の音だけが聞こえる。

その少しののち孫策が口を開く。

「返事は?」

少し考えるような仕草の後、いきなり孫策に抱きついて一言。

「是(Yes)」

顔を上げてその後に言葉を付け足す。

「策といると雨の日も退屈じゃなさそうだし、もともと好きだし」

笑いかけると、孫策はの頭を今度は優しく撫でながら笑いかけた。

「伯符でいいぜ」

「んじゃ、わたしもでいいよ」

六月のこの雨はまだまだ降り続ける模様です。









後日、城内にいた軍師たちのある日の会話


周瑜「しかし、このじめじめした時期に…」

陸遜「本当ですね、これからもっとあつくなって来ると言うのにその前からこの城内はとても・・・」

呂蒙「あつい…」

周・陸「「いえ、あなたもむさ苦しい」」

呂蒙「…(泣)…」




終わり



雨が多いせいか、必然的に雨系統の話が多くなるような気がしてならない
これは、丁度、6月1日の化学の時間に思いつきました。
それで、そういえば100の御題に六月の雨ってのがあったなぁ…と。
そして、化学の時間に書き終えたのですが、学園祭やらのことで
直ぐにアップできずに今に至りました。。。
なんか、ヒロインの性格が微妙なかんじ…(-_-;)


閉じてください



















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