降りしきる雨。


風もなく、ただ降るだけの雨。


地に叩きつけられ、

ものを伝い地に落ちる。














「今日も雨ですね、元譲様」

中庭を向いて正座をしている娘、 は目前にいる夏侯惇に向かって言った。

長い廊下のあるこの屋敷は夏侯惇のものではなく、のものだ。

いっこうに返事の返ってこない彼の人に対してもう一言。

「きいてらっしゃるのですか?」

「・・・ああ、きいている」

その低く落ち着いた声とともに、空を切る音が聞こえる。

得物を振り下ろす、素振りの音だ。

乱れのない音が、雨音に負けじと聞こえてくる。

「風をおひきになってしまわれます、中に御入り下さい」

夏侯惇の身を案じて声をかける。

しかし、即答された答えはそれに期待されるようなものではなかった。

「馬鹿を言え、体がなまっちまう」

言って、一段と振りの力を強めて虚空を切る。

「ですが、毎日やっておられるではないですか、今日とて朝早くから・・・
 もう二刻も経つのですよ、少しぐらい大丈夫でしょう」

あまり動じもせず、先程と体形を崩さずに言葉を紡ぐ。

落ち着いた口調で、しかし、雨音に負けないくらいの声音で。

その言葉に、夏侯惇は素振りの手を止めるとのほうに向き直って半ば投げ出すように言った。

「・・・止めてもいいが、何か面白いことが他にあるのか?退屈しないものが」

その問いに微笑み返して答える。

「ええ、無論わたしの話し相手です」

その答えに、しかめっ面をして返す、夏侯惇。

「今、話しているではないか」

何を呆けた事を、と言わんばかりの口調。

頭を掻きながら得物を地に突き刺した。

「いいではないですか、それとも私ではお嫌ですか?」

半分は冗談、残りの半分は少し本気で聞き返す。

映像として相手を捉えることの出来ないはただその相手の答えの調子と声音で気持ちを読み取る。

これまでの数十日間で得たものだ。

「いいや」

それを聞いて少し安心する

でもそれは決して表に出さない。

「では、お召し物をお着替えになってから又来て下さいませ
 下女達に申し付けておりますから」

首をやや傾けて満面の笑顔。

しかし、その表情が一番出る瞳は包帯に隠されている為、以前ほどの笑顔ではなかった。

それに一向に慣れず、そして何処となく侘しさを感じる夏侯惇。

「ああ、すまない・・・・少し待っていろ」

得物を手に持ち、中庭の奥の方にある流しに向かった。

はただその足音、物音を聞いているだけだった。




それから間もなく、の左側から気配がした。

着替え終わって来た夏侯惇だ。

そのまま歩み寄り、の横に腰を下ろす。

「その目はいつ治るのだ?」

ふいに話し掛けてきた夏侯惇には答える。

「医師は100日と申しておりました、あと8日になります」

「そうか」

いって、を見やる。

それには気づくことのない

・・・」

「はい、なんでしょうか?元譲様」

夏侯惇のほうを振り向く。

その姿をただ、何かやるせない気持ちで見つめる夏侯惇。

振り向いたが、それから何も返答のないことに、どことなく不安を感じ眉根を寄せる

再度聞く。

「元譲様・・何か?」

するとふいに、自分の左眼あたりに夏侯惇のぬくもりを感じた。

夏侯惇は右手での左眼あたりを触れながら口を開いた。

「俺は、戦場で左眼を失った。そして、お前は三ヶ月前の戦での負傷が原因となり発熱して両の視力を失った。
 医者には治ると言われているが…もし、8日後その包帯を外しても何も見えなかったら……」

「見えなかったら・・・・?」

オウム返しに聞く。

少し間が開いた。

その間はやはり、雨音しかしない。

パラパラという音。

軽快な。

突然、は手を引かれて夏侯惇に引き寄せられた。

そして、夏侯惇はの額に自分の額を付けて言った。

「俺が一生お前の目となる」

瞬間顔が赤くなるのをは感じた。

耳まで熱い。

顔の直ぐ傍で夏侯惇の体温と息遣いを感じる。

そのままの状態で夏侯惇は聞いた。

「良いな?」

ほんの少しの間の後、

「はい」

とだけ答えた。

そしてそのまま口付けをした。

どちらともなく。






終わり




はい、結局何が言いたかったのかわからない…
しかも、最後の方行き詰まって「ええぃ、終わらせてしまえ!!」
な勢いで終わらせてしまった(俺が夏侯惇と知って挑んでいるのか!? ―はい、そうです(斬
こいつじゃこんなもんだろと、思ってやって下さいませ(殴





閉じてください


















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