季節は秋、過ごし易い気候で雨も少ない。

海辺の小さな町、そこの、ある小さな家。

その家の扉を一人の少年が叩く。

、遊ぼう」

それから間もなく、家の中から一人の少女が顔を出す。

と呼ばれたその少女は、いつも下ろしているセミロングの髪を右側頭部でだんごに結っていた。

そして、屈託の無い笑みを見せる。

「あ、ブローノ。ごめんね、折角だけど今日は駄目なの」

首を傾けて返す。

「どうして?何処か行くの??」

それに少し考えるような仕草をして答えた。

「う〜ん、そうじゃなくてね・・・どうしても駄目なの、ごめんね」

答えにならない答えと、”じゃぁ、またね”とだけ残しては扉の中へ入っていってしまった。

一人立っていても仕方ないので海辺の道を歩いて帰ることにした。

住み慣れているこの町は海辺だけあって漁業が盛んだった。

丁度お昼時だったので道行くリストランテのテーブルに座っている客達が昼食を済ませていた。

ペスカトーレやリゾットネエロ、ボンゴレロッソ…いろいろとテーブルの上に並んでいた。

そして、各々食べている人たちを見ながら家路を歩いた。

ふと海に目をやると漁船が目に入った。

自分の父も今ごろ沖に船を出して漁をやっているのかなと思った。

それと同時に、先程のとのやり取りが思い出される。

いつもならすんなり承諾してくれるか、理由があれば明確な答えを与えてくれた。

だが、今日に限って違った。

どこか白々しさを思わせるような言動。

元々友と呼べる人も少なかった為、”あぁ、また嫌われたんだ”とそう思わずにはいられない。

幼いながら、好意を抱いていたせいもあってその落ち込みようはかなり大きなものだった。

暫く歩いて、家に着くと、母に”ただいま”とだけ言って部屋に入った。

母が様子を見に来る。

「お帰りなさい、ブローノ。とはどうかしたの?」

ベッド越しに窓外を見始めようとしていた視線を母に向けた。

「うん、今日遊べないって」

それに、気持ち首を傾けて言う。

「そう、それは残念だったわね、また明日行ってみなさい」

窓外の景色に視線を移し背を向けたまま

「うん、そうする」

と言うと、その背に向けてまた返ってきた。

「あ、そうだ、母さん、ちょっと出かけてくるんだけど、ブローノも行く?」

「・・・行かない」

「そう?じゃ、お留守番ね」

そう言って、母は部屋を後にした。

そんな母を背中で見送りながら、ただぼけっと窓から見える海を頬杖をついて見る。

何をすることもなく、ただそれだけで。



日も傾きかけ、どのくらいの間その状態で外を眺めていたのか。

出かけた母も一向に帰って来る気配が無かった。

そんな折、家の扉が叩かれる音。

それから暫くして扉の開く音がした。

そして、部屋に漁から帰ってきたらしい父が入ってきた。

「ブローノ、お前にお客さんだぞ、早く行ってやれ」









  ――――――― ………



「ブチャラティ、お客さんですよ」

フーゴにそう言われブチャラティは目を覚ます。

近辺地域の情報整理をしいてたのだがどうやら途中で机に突っ伏してしまったらしい。

そんなに疲れていたのかと思いつつ、今のは夢か、とそう思った。

とりあえず伸びをして眠気を飛ばす。

「ゆっくり休んでいないんですか?」

フーゴに言われて、首を横に振る。

「いや、そういうわけではないが・・・依頼か何かか?」

話を元に戻すとフーゴは”そういう訳でもなさそうですが”と言った。

丁度そのとき、この部屋に向かってパタパタと走ってくる音がした。

そして扉の向こうからひょっこり顔を出したのはナランチャだった。

「ねぇ、ブチャラティお客さ・・・ってあれ?フーゴいたの?此処で何してんの??」

何処からか帰ってきたのか、フーゴが来たときには居なかったナランチャはそう言って室内に入ってきた。

「ええ、いましたよ。あなたと同じ理由です」

ナランチャは”ああ”と相槌を打つと、再度ブチャラティにむかって言った。

「ブチャラティ、早く行ってあげなよ、なんか女の人だけど…待たせたら悪いよ」

そのことにブチャラティは”女?”と頭に?を浮かべながら部屋を出た。

なんせ、依頼以外なら何なのだ、というものであったから。

広間に出ると外からの入り口より少し離れた窓際に彼らの言う例の女性が確かに立っていた。

手には何か持っている様子で、窓外の景色に見入っているのかこちらに気づいた様子はなかった。

「待たせた、とりあえずそこへ・・・」

”かけてくれ”そう言おうと思ったのだが、声に気づいて振り向いたその顔に驚いて言葉が詰まった。

昔のままとは言わない、何処となく面影を残したその人物とは、もう十何年も会っていなかったが
その者の名を忘れたことは一度だって無かった。

・・・?」

「覚えていてくれたんだ、名前」

そう言ってと呼ばれたその女は屈託の無い笑みを見せた。

秋風に髪が揺れる。

「どうしてここへ・・・?」

なぜここにいることがわかったのか、どうやって知ったのか、それを聞こうと思ったが、それとは裏腹に、
どんな理由でここへ来たのかと言う疑問が先に口走っていた。

そうこうしている間にフーゴとナランチャが広間に戻ってきた。

妙な雰囲気が場に流れていることに二人が疑問を抱いていると、が口を開いた。

「なぜって…簡単よ、今日はあなたの誕生日だったでしょ?だから、ね…Buon compleano、ブローノ」

差し出された両手いっぱいの箱との表情を見ながら、ふと、夢の続き、いや過去の出来事を思い出す。





ベッドの上で立てひざをして窓外を見ているところを、早く行くようにと急かすように背中をぽんぽんと叩かれた。

未だに空は青いままだったが、もう夕方なのは確かだ。

一体誰なのだろうと思いながら部屋を後にする。

玄関まで延びる一本の通路を進みながらガラス越しの扉の向こうに小さな影を見た。

扉の向こうには確かに誰か居るようだった。

扉を開けるとそこに居たのはだった。

「あれ?、何しに来たの?」

聞くとは微笑んだ。

「どうしてって、今日はブローノの誕生日でしょ?だから、はい、コレ。
 Buon compleano、ブローノ!」

「これは?」

聞くと、はその顔に紅を差しながら上目遣いに言ってきた。

「ケーキ、作ったのソレ」

そのことにびっくりしてと箱を交互に見る。

「え、じゃぁ、今日遊べなかったのは・・・」

「そう、それ作ってたから」

自分の考えすぎだったんだ、と思いながら、感謝と嬉しさとほんの少しの恥じらいの気持ちがこみ上げてきた。



「ありがとう、





回想はそこで消える。

笑みを返す。

過去と同じことを言った自分に可笑しさを感じながらそれを受け取る。

受け取った両手いっぱいの少し大きなその箱からは幼いころに受け取ったそれと同じ甘い香りが漂っていた。





  〜fine〜




如何だったでしょうか・・?
ブチャラティ誕生日おめでとうフリ夢

表現が足りなかったりして気に食わんところもあったりしますが;
実は、これには秘話があります。
この前に書いていたフリ夢、なくしたんです(爆)
それで新しく書き直したんですが、この話と全然違う内容です;
そっちも、暇があればもう一度書いてアップしたいなと思ってます。
あと、ブチャとは関係ないっすが、12月3日のミスタ誕生日おめでとうフリ夢を出す前に、ま・え・に!(ここ強調
ミスタ夢を書きたいです。アバ夢も書きたいです。てか、いろいろ書きたいです(-_-)
でも、11月は試験だらけで気ぃ抜いてられんのであまりかけないのは確か。
とりあえず、目指せ!ミスタ夢アップですな。
なんか、無駄にずらずら書きましたが、このへんで失礼します〜

                                    2003,09,27   隷

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